クイーン・ハーベスト:自然の旨味が 詰まったジャム、ドライフルーツを練りこんだマスタード、素材の味を生かすピクルス…、信州産の新鮮野菜や果実を使ったプリザーブ(保存食)専門店!(長野県東御市)
今日は休日ということもあって、ゆっくりと寝てしまい、ブランチということになったので、ちょうど、昨日、購入した東御市八重原にあるクイーン・ハーベストさんで買ったばかりのジャム「アップルバター」をおろすことにしました。
天然酵母のカンパーニュに、よく練られたペースト状のジャムをたっぷりとつけます。独特なスパイシーさを感じた後に、リンゴの甘酸っぱさがフワッと広がる、ほかでは味わえないオリジナルなジャムです。
昨日、代表の伊東裕子さんが、
「これは、信州産リンゴにシナモン、オールスパイス、クローブなどのスパイスとモラセス(糖蜜)を加えて長時間、煮詰めた濃厚な味わいのジャムです。バターを使ってはいないのですが、煮詰めてペースト状になることから、そう呼ばれるアメリカ伝統の味で、年間を通してご提供しています」
と教えてくれました。
付け合わせのヨーグルトには、季節商品の「青リンゴ&レモンのジャム」をトッピング。こちらは、果肉が残った状態のフルーツ・イン・ジャムで、リンゴの甘味の中に、レモンのちょっとした苦味がアクセントとなっていて、ヨーグルトに、よく合います。
クイーン・ハーベストさんでは、ブルーベリー、ルバーブ、アップルバターなどといった定番のジャム「ナチュラル・ファーム・プリザーブス」シリーズと、季節のジャムである「フルーツ・イン・ジャム」シリーズの2種類のブランドがあり、ほかではあまりお目にかかれない、でも、とーっても、その味が気になるジャムを年間で40種類ほど作っています。
パンだけでは、ちょっと、もの足りないなと思ったとき、裕子さんの言葉を思い出しました。
「レトルトのクリーム系のパスタソースにマスタードを入れると、プロの味になりますよ」
クイーン・ハーベストさんでは、自家製のドライフルーツをタップリ練り込んだ粒タイプのマスタード「マスター・マスタード」も作っていて、これがジャムに匹敵する人気だとか。
ちょうど買い置きしていたレトルト・パスタがあったので、「ドライトマト・マスタード」を入れてみると、確かに! 味がはっきりとし、さらに濃厚味わいになって美味です。ほかにも6種類のマスタード、また、信州産の新鮮な野菜や果物をワインビネガーや数種類のスパイスで漬け込んだ、さわやかで、自然の風味豊かなピクルスもあります。
それと、昨日、勧められたのが、東御市内にあるワイナリー「リュードヴァン」のワイン用ブドウ・シャルドネのレーズン。いくつかあるドライフルーツの一つですが、小枝が、そのまま付いた野趣豊かな味で、これが、白ワインにピッタリ合うと言うので、今日の夜が楽しみです!
信州の旬の味がギュッと詰まったプリザーブス(保存食)
東御市の田中駅南口の信号から明神館に向かって県道を登りきり、御牧台地をしばらく走って右側に入った勘六山と呼ばれる小高い丘の上、木立の中の一画にあるナチュラルなログハウスがクイーン・ハーベストさん、ジャム、ピクルス、ドライフルーツ、マスタードなど果物を使ったプリザーブス専門店です。プリザーブス(preserves)とは、ビン詰め、缶詰め、乾物や冷凍などの保存食品を指します。
オーナーの伊東さんご夫妻は、10年ほど前に横浜から信州に移住してきたのですが、美味しい果物や野菜がたくさんあることにビックリしたそうです。最初は、季節季節の食材を無駄にしないために、ジャムをはじめ、漬物などの保存食作りを始め、知り合いに分けていたのですが、評判が良かったので、少しずつ販売を始めたのでした。
伊東さんご夫妻は、実は相当なレシピ・オタクとのこと。インターネットを通じて、いろいろな国のレシピをコレクションしたり、それを見て実際に作ったりして楽しんでいるのだとか。う~ん、ちょっとマニアック?!
「“ローカル・フード&グローバル・フレーバー”という言葉があるんです。つまり、地域(ローカル)で採れる美味しい野菜や果物を使って、スパイスやハーブ、調理法などを工夫し、グローバルに味を楽しむ。世界的なトレンドのようですが、勝手に私は、ネット・ガストロノミー(美食学)と呼んでいます。実際、プリザーブスの製造にも、とても役立ちます」
とのことです。
確かにクイーン・ハーベストさんの製品は、ちょっと耳慣れない名前のジャムなどワールドワイドな感じがして、ちょっと、その味を確かめてみたくなります。
人工添加物は使わない、ほどよい甘さのフレッシュな味わいのジャム
ジャムはそもそも保存食で、果実に砂糖を加え、加熱して煮詰めることで、含まれていたペクチンや酸が作用してゼリー化するのだそうですが、保存の決め手となるのが、実は砂糖なのだとか。砂糖には、果実の水分を抱えて放しにくいという性質があるので、細菌類が、その繁殖に必要な水分を奪われて活動できなくなり、腐らなくなるというわけ。だから、糖度の高いジャムは、長期間の保存が可能ということなのです。
いやー、砂糖の力って偉大だし、それを発見した人間の英知に改めて感服です。
クイーン・ハーベストさんのジャムも、もちろん、その保存性を考慮した糖度はあるのですが、でも、食べてみると、ほどよい甘さのフレッシュな味わいに仕上がっています。酸味のある果物を長時間じっくり煮込んでバランスをとるなどといった工夫をすることで、人工添加物を使うことなく、それを実現しているのだそうです。
最近は、さらに糖度の低いジャムも販売されていますが、やはり、ある程度の甘さと果物の旨みのコラボレーションこそが、ジャムの魅力のような気がします。
《主なジャム》
- ルバーブ(140g 600円)
ルバーブは、生で食べてもただ酸っぱいだけですが、砂糖を加えて煮ると繊維がほぐれて、とても美味しいジャムになるとのこと。東御市にある栗の木ファームが有機栽培するルバーブを使用。爽やかな酸味とコクがあり、繊維質タップリです。 - 丸ごとイチゴ(140g600円)
甘く程よい酸味の新鮮なイチゴを、粒を残してじっくり煮込み、甘味と酸味のバランスの良いジャムになっています。 - 洋ナシ(140g600円)
果汁たっぷりでとろけるような果肉の信州産の洋ナシをじっくり煮込んだ、風味豊かな洋ナシのジャムです。 - キャラメルリンゴwithカルバドス(140g600円)
甘酸っぱいリンゴに、キャラメルとリンゴのブランデー・カルバドスの香りを加えた甘くほろ苦い風味豊かな、まさに大人のジャムといえます。 - 国産オレンジとレモンのマーマレード(140g600円)
甘くフレッシュな国産ネーブルオレンジに国産レモンを加え、果皮から果肉までタップリ使い、じっくりと煮つめました。 - 青リンゴのゼリー(140g600円)
イギリス原産のプラムリーやオーストラリア原産のグラニースミスを使った透明感のあるゼリータイプのジャム。リンゴの香りがするハチミツのような感じで、トーストやパンケーキなどに、よく合うとのこと。
ほかにも、たくさんあります。詳しくはオンラインショップ、あるいは、東御市内に本店のあるチーズ工房「アトリエ・ド・フロマージュ」と、その南青山店、また、同じ東御市内のワイナリー「リュードヴァン」でも、一部の製品が販売されています。
新しい料理が広がるオリジナル粒マスタード
ジャムに匹敵する人気を誇っているのが、「マスター・マスタード(Master Mustard)」。自家製のドライフルーツをたっぷりと練りこんだ粒タイプのオリジナル・マスタードです。
例えば、アップル・マスタード(65g400円)。
ワインビネガー・白ワインなどを加えた粒マスタードに自家製のドライアップルをタップリ練りこんだ、フルーティでマイルドなオリジナル・マスタードです。
サンドイッチ・肉魚料理・ドレッシングやソースなどに合います。
ほかにゴールデン・マスタード(65g400円)もあります。
中には、酒の肴にそのままチビチビなめている、なんてコアなファンもいるのだとか。
自然が生きるピクルス、チャツネ、コンポート&ドライフルーツ
最初にお話をしたリュードヴァンのシャルドネのレーズン、小粒ながらも、旨味がギュッと詰まった、贅沢な味わいでした。
ほかにもアンズや桃、サクランボなどのドライ・フルーツも販売していて、それはまた、ジャムやマスタードの素材としても生かされています。
このようにクイーン・ハーベストさんでは、信州産の新鮮野菜や果物の、まさに素材の自然な味をそのまま生かすよう、ほかにも、ピクルスやチャツネ、コンポートなどを作っていて、季節の味を楽しめます。
- スパイシー・カリフラワー・ピクルス(230g600円)
信州産のカリフラワーを5種類のスパイス(マスタードシード・コリアンダー・クミン・ターメリック・唐辛子)とともに酢漬けにしたスパイシーで歯ごたえのあるピクルスです。
ほかにも、青トマトのピクルス、フェンネルのピクルスなどがあります。ただし、季節の旬を漬け込むので、販売時期の確認をしてくださいね。
ナチュラルガーデンとギャラリーArt In Craft(アート・イン・クラフト)
お店のあるログハウスの裏には、ナチュラル・ガーデンが広がっていて、季節ごとに様々な花が咲き、目を楽しませてくれます。
毎年、6月にはオープンガーデンを開催していて、オルラヤ・ホワイトレースやバラなど、さまざまな種類の花が咲き誇ります。ワイルドストロベリーなど、ジャムの素材となる果実にもお目にかかれますよ。
そして、うれしいのは、自慢のジャムを添えたスコーンなどを味わえるアフタヌーンティーのサービスがあることです!
さらに楽しいことがあります。お店には、地元で活動する女性クラフト作家4人-小山久美子さん、松本冬美さん、角りわ子さん、伊東裕子さん-の作品を中心に扱っているギャラリー「Art In Craft(アート・イン・クラフト)」が併設されているんです。茶碗や皿、花瓶などの陶芸、エッチング、竹紙、バッグやパッチワークキルトなど、本物の深い味わいの中にも親しみやすさのある作品が並んでいます。
そして、先ほどのナチュラル・ガーデンでは、彼女たちの作品を使った「気取らないカジュアルな野点」が季節ごとに開催されていて、“生活の中で使うクラフト”を感じることができます。
そのほか店内では、「シンブル」という裁縫に使う指貫やヒンジボックス、ミニチュア陶磁器の販売も行っていたり、ユーモラスなイタリア・アンリ社のオールド・アンリと呼ばれる木彫りの人形にニッコリしたり、思いがけない出会いがたくさんあるので、一度、お出かけしてみてください。
信州に来て、本当に美味しい食材との出会いの連続でした。農家の方々と、直に果樹や野菜のお話をしたり、世話や収穫のお手伝いをしたりしながら、品種による違いとか、これは何に向いているとかなど、あれやこれや話すのが楽しいし、そんな中で、ジャムやピクルスのアイディアが生まれるんです。
ジャム作りって、けっこう重労働だし、コトコトじっくり時間をかけることが美味しさにつながるので、大変ではありますが、皆さんの笑顔を思い浮かべながら、これからも励んでいきたいと思います。
伊東純一・裕子
webサイト | http://fruits-jam.com/ |
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電話番号 | 0268-67-1450 |
住所 | 東御市八重原2686-13 |
営業時間 | 毎週金・土・日曜日および祝日の午前10時~午後4時 |