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OIDEYO(おいでよ)ハウス:旨みがギュッと詰まった乾燥えのき&乾燥りんごが評判で、食材の粉末化にも挑戦! 雷バッグや農作物に続く新事業!!(上田市真田町傍陽)

更新: / 公開: 2012年8月15日 / 文責:

上田市真田町傍陽にあるOIDEYOハウスさんにうかがうと、統括リーダーの太田雅之さんが、美味しそうなサラダをご馳走してくれました。

「このサラダ、全部、OIDEYOハウスで作ったものばかりなんですよ」と太田さん。

シャキシャキとみずみずしいレタスや、さわやかで甘味のあるミニトマトは、利用者さんが丹精込めて栽培したものだそうです。
そのうえに乗っているものは何かと思ったら、キノコのエノキなんです。面白い組み合わせだと思いながら食べてみると、普通のエノキよりも旨みが感じられ、味わい深いんです。すると、太田さんが、

「美味しいでしょ~。実は、このエノキ、OIDEYOハウスの工場で乾燥させた、名付けて“信州えのき”なんです。30〜40度ほどの低温で乾燥させている(減圧平衡発熱乾燥法)ので、細胞の組織破壊が少なく、食材本来の香りを残しながら、旨みをギュッと凝縮しています。もちろん栄養価もそのままです」

もっか売り出し中の商品なんだそうです。さらに、レタスの周りに散りばめられていたのがリンゴのチップス。本当にリンゴの甘酢っぱさは、そのままに、パリパリした食感がアクセントとなっています。こちらも同じ機械で乾燥させた“信州りんご”。油で揚げていないのでヘルシーです。

そんなOIDEYOハウスさんは、知的・身体・精神障がいをもった方々が集い働く、就労継続支援B型という事業所。現在、18歳~70代まで40人ほどのメンバーの皆さんが通っています。
2006年の制作開始以来、OIDEYOハウスといえば、雷グッズ(雷バッグ)と言われるほどになり、12人の利用者さんが様々な色のビニールシールを貼った生地を、バッグや財布、ティッシュケースなどに加工しています。また、農薬や化学肥料を使わない安全安心な野菜やりんごも作っていて、美味しい水と空気と朝夕の寒暖差が大きい環境で育てられているので、甘みがあって柔らかく、シャキッとしていて新鮮だと、評判になっています。

そんな中、最近、第三の事業として始められ、期待されているのが、野菜や果実の乾燥加工事業なのです。一般の皆さんに食べていただくことはもちろん、飲食店の皆さんにも食材の一つとして利用いただけたらという提案もしているそうです。
さらに、新たなる提案を勧めているのが、食材の粉末化! たとえば、小松菜を乾燥させ、さらにそれを細く粉末状にしたものを混ぜて練り、「小松菜うどん」として販売しているケースもあるのだとか。

このようにOIDEYOハウスさんでは、利用者さんに働く場を提供し、利用者さんがやりがいを持ち、そして笑顔で過ごせる環境を作ろうと日々取り組んでいるのです。

"乾燥革命"と言われる減圧平衡発熱乾燥法とは

野菜や果実を乾燥させると野菜の水分が抜け、野菜本来の味が凝縮され、さらなる旨みが生まれて、生とは違う、また別物の美味しさを味わえると言います。もちろん栄養価は変わりません。

そこに目をつけたOIDEYOハウスさんでは、乾燥野菜・果実の専門家や乾燥機のメーカーなど関係する皆さんと1年近くの打ち合わせを経て、ようやく商品化にこぎつけました。
こうして生まれたのが、乾燥えのきの「信州えのき」と乾燥りんごの「信州りんご」です。

信州えのきは、そのまま汁物や天ぷらにしてもよし、もどして和え物にしたり、エキスはえのき茶で。また、えのきに含まれるエノキタケリノール酸が、内臓脂肪を落とすといわれていて、ダイエット効果があると今、話題です。

信州りんごは、そのままおやつとしてはもちろん、例えば、砕いてアイスクリームやヨーグルトにふりかけても、ちょっと高級な味になるのでお試しください。

そして、この美味しさを実現している秘密が「減圧平衡発熱乾燥」という方法です。
「減圧平衡発熱乾燥法」(特許)は、“乾燥革命”と言われるほど画期的な乾燥法で、乾燥庫内を減圧して水分の蒸発を高めると同時に、減圧用のファンと空気の摩擦によって熱が発生し、その熱と循環ファンによる空気の移動によって乾燥を進めるのだとか。
30〜40度ほどの低温で乾燥させているので、細胞の組織破壊が少なく、食材本来の香りを残しながら、旨みをギュッと凝縮させることができるんだそうです。
それに、温度の高い熱による乾燥は、せっかくの大事な食材の栄養素が失われてしまう可能性がありますよね。

そしてそして、この「減圧平衡発熱乾燥機」を製造している八尋産業株式会社さんの目標は「世界中の食材のムダをなくすこと」なのだそうです。つまり、現在は農家などで、形が悪いだけで味はまったく同じ野菜(規格外野菜)が廃棄されることがほとんどなのに対し、それを無駄にぜず利用しようというものなのです。納得です。

この乾燥えのきは、飲食店でも使われているようで、あるレストランさんでは、乾燥えのきをスープとして提供しています。旨みが凝縮されているので、生のえのきに比べて濃厚な味わいになると好評のようです。 フレンチ、イタリアン、和食、中華等々、それぞれに活かす方法があるのではないかと思うので、料理人の皆様いかがでしょう。

さらに、この乾燥技術の発展系としてOIDEYOハウスさんでは、食材の粉末化ににも取り組んでいます。

真田の大地とメンバーの汗から生まれた安心安全の野菜と加工品

メンバーの皆さんが丹精込めて栽培したトマトを加工したトマトジュース「信州のトマト畑」(1,000円)をいただきました。これが、やっぱり美味しいんですよ~。といっても、かなり濃厚で、トロっとしていてジュースというよりピューレという感じ。すりつぶしたトマトをそのままいただいているようで、きっと料理に使ったら、いろいろと、その用途が広がると思います。

OIDEYOハウスさんでは、同じ真田地区のあちらこちらに畑を持ち、玉ねぎ、キャベツ、トマト、にんにく、ねぎ、さつまいも、ピーマン、それにリンゴなどなどを生産しています。そのこだわりは、安心安全。生産する野菜や果樹は、できるだけ農薬や化学肥料は使わずに育てていて、加工品も着色料や保存料が無添加です。

畑で働いていた青年に話を聞くと、

「草取りや水やりが大変です。でも、そのジュースは美味しいです。でも、ちょっと高いです。でも、それだけ美味しいです。飲んでくれたら、うれしいです」

と笑顔で答えてくれました。
自分が、汗をかきながら一生懸命に作った野菜や加工品を、きっと誰かが、美味しいと言って食べたり、飲んだりしてくれているんだということを、何か直感的に分かっていて、ちょっと誇らしげに話しているのが印象的でした。

「自分の存在が、たとえ小さいとしても、確実に社会とつながっているということを感じ、働いていることの意義を確認できるということは、OIDEYOハウスに集うメンバーさんにとって、とっても大きな心の支えになっているのではないかと思います」

と担当の長谷川亜由美さん。
今、それを感じられないことで自分の存在の意味を確認できずに虚無感を覚えている若者が多くなっていると聞きます。その解決の糸口が、ここにあるのではないかとも思いました。

トマトジュースのほかにも、リンゴジュース「信州のりんご畑」(800円)、リンゴと人参のミックスジュース「信州のりんご&にんじん畑」(600円)、トマトケチャップ(500円)向日葵(ひまわり)油(800円)、乾燥えのき(100円~200円)、乾燥切干し大根(100円)、乾燥バジル(100円)、りんごチップ(100円)、おはよう&おやすみのハーブティー(各300円)、ほっこり大豆・黒豆・花豆などリラクオーレストア、自然の味わいを楽しむことができます。 
直売所「新鮮市真田」などにて販売中です。

個性が光る雷バッグ

雷グッズ(雷バッグ)は、使用済みの米袋の上に、様々な色のビニールシールを貼ったものを生地にして、バッグや財布、ティッシュケースなどに加工したOIDEYOハウスの看板商品。そのアート性は、広く国内外で認められ、ニューヨーク近代美術館(MOMA)や東京新国立美術館のミュージアムショップで取り扱われているんです。

現在、作家さんは12人ほどいるのですが、本当に本当に、それぞれの作家さんによって作風が違っていて、まさにアートなんだなあと感じます。
そして、その魅力は、障がいがあるとか、ないとかの次元を越え、一人の人の作品であり、個人個人の感性そのものなんです。
中村まりさんは、ニコニコとキュートな笑顔の女の子。その作品は、大きな柄からだんだんと細く小さな柄に、独特な色の変化をつけながら移っていきます。
一方、朴訥で真面目そうな高寺隆浩さんは、規則正しく並んだ格子のマス目の中を、感性の赴くままに独自の配色で埋めています。それは、まさにグリットによるミニマル・アートです。
ほかの皆さんも、それぞれに作風があり、趣が違い、独自の世界を持っています。
もともと雷グッズは、食事のお世話になっている業者さんから使用済みの米袋をいただいて、また、看板屋さんが使わなくなったビニールシールを持ってきてくださったときに、たまたまメンバーさんが、それを米袋にペタペタ貼っていったのが始まりだそうです。いわば、リサイクル素材による究極のエコ商品といえます。
 
ところで、なぜに雷グッズなのかというと、あのピカピカした感じもそうなんですが、「紙は“紙なりに”頑張っている」という意味合いもあるそうです。        松本市美術館、ホクト文化ホール、御代田町のカフェ「ル・パステ」さんなどで販売されています。

その雷バッグに次ぐ製品として最近になって登場したのが、色とりどりの糸を心を込めて織り込んでいく“織物”です。こちらも、製作する利用者さんの感性で選ばれた色の糸で織っていくので、世界に一つオンリーワンの製品に出会えます。バッグ財布携帯ケースカードケースティッシュケース携帯ストラップなど、柔らかな肌触りと温かな色合いが素敵で、持っていると、どこか心が安らぎます。

手肌にやさしく、環境にもやさしい竹炭石けん

真田地域は古くから、とても竹の多い地域として知られています。では、せっかく竹があるのだからと、OIDEYOハウスさんでは竹の炭焼きを始めたんです。なんとなんとストレートな発想! ただ、正直、その竹炭を、どう利用しようかというところまでは考えずに始めたので、しばらくは、「さて、どうしようか~」という状態だったみたいです。

その後、皆で話し合いをする中でヒラメイたのが、竹炭パウダーを使った石けんでした。

きっかけとなったのは、障がい者を雇用して石けんを製造する福祉事業所の第一人者である「ねば塾」さん(佐久市)との相談。ねば塾さんの石けんの定番である「白雪の詩」が白いので、それとペアを組めるような黒い石けんができたら面白いねという話から共同開発を進め、姉妹品として誕生したのが無添加竹炭石けん「黒富の詩(こっとうのうた)」(500円、お試しサイズ200円)だったのです。

黒富の詩は、自家製のパームバージンオイルのみを原料として、じっくり時間をかけて作った純石けんに竹炭パウダー、さらに竹酢液を配合しています。合成界面活性剤は一切、不使用。だから、手肌にやさしく、安全安心なのです。
使ってみると、洗っているときは泡立ちもよく、柔らかく優しい感じなのですが、泡を流すと、サッパリとします。
台所用石鹸として開発されたので、天然植物繊維100%で、防腐剤、防カビ剤等は不使用の竹炭こんにゃくスポンジ「PIKATAN(ぴか炭)」(500円)で泡立てれば、洗顔・手洗いはもちろん、全身に使うことができます。
無添加なので、赤ちゃんグッズやペット用品などの洗濯にも安心です。

「実は竹炭は多孔質といって、木炭よりも微細な穴が多いため、洗浄力が高いと言われています。同時に、それは、排水されても、河川や湖沼などの汚濁した水質を浄化する作用があるので、竹炭石けんを使うだけで環境保護に貢献できるってことになるんですね」

と長谷川亜由美さん。

さらに、化粧石けんとして開発されたのが「真田の香」(1,000円)です。竹炭パウダー+リンゴの香りを練り込んであります。

また、この炭焼きのときにできる副産物が「竹酢液」(300円)。煙突から出る排気ガスを集めて、それを冷却して液化させたものです。
花や葉の色が鮮やかになる/微生物が増殖し、土地を改良する/生ゴミやペットなどの臭いを消す/生ゴミでの堆肥作りを良質にする/犬・猫・虫よけになる
などの効果が期待できるそうです。

真田町で輪が広がるかりがね福祉会

OIDEYOハウスさんの運営母体は、上田市真田町に本部を置く社会福祉法人「かりがね福祉会」さんです。1979年に、知的障がい者の生活介護・生産活動の支援を行う入所事業所として「かりがね学園」(現・ライフステージかりがね)が開設されてから、一貫して地元・真田町を拠点にして福祉事業一筋に歩んできました。

この間、アトリエ活動に取り組む生活介護事業所「風の工房」、在宅・重度包括支援センター「えーる」、自分探しのお手伝いをする通所事業所「アトリエFuu」、仲間と過ごすケアホーム「共同生活サポートセンター」、一般就労をめざす就労移行事業所「希咲館」、精神的な悩みを抱えている方の居場所「憩いの家」など、メンバーさん、それぞれの環境や要望に応える事業所を提供し続けているのです。
その中で、OIDEYOハウスは、就労には至らないメンバーさんに活動の機会を与える「就労継続支援B型(非雇用型)」の事業所として、2001年に開設され、『本気で働く!~自分らしさを生かし挑戦できる場所~』をモットーに運営されています。ネーミングはもちろん「誰でもおいでよ」という思いから。

「雷バッグや竹炭石けんなどが、ごく自然に、普通の商品の一つとして、多くの皆様にとどくことができたら、うれしく思います。でも、それだけに身が引き締まる思いもあります。つまり、『買ってあげようか』ではなく『買ってみたい』という製品をご提供しなければならないのですから」

と所長の竹内さん。

今後は、より多くの方々と触れ合う機会を作ったり、雷バッグの制作ワークショップなどを企画して親しんでもらったりなど、竹内さんの夢は広がっています。

お店からのヒトコト

OIDEYOハウスにおいでいただく利用者の皆様お一人お一人が、各種の事業を進めていくにあたって、それぞれに重要な役目を担い、参加できるような仕組みを作っていくことが、私たち事業所の役割だと思っています。そして、利用者さん一人一人の存在が、確かに社会と結び付いていることを感じられたときに、ご両親の安心につながるのだと思います。

そして重要なことは、それぞれの利用者さんが、安心した生活を送れるよう、ちゃんとした収益を上げ、工賃のアップを図ることです。
そのためには、消費者の皆様に本当に喜んでいただける加工品や農産物、製品を作り、目にしていただく機会を多く作っていかなければならないと思うんです。

いろいろと事業を進めるにあたっては、そこに関わる大勢の皆様のご理解とご協力をいただくことになりますので、感謝の気持ちを忘れないでいたいですね。とくに、真田地域の皆様には本当に暖かく迎えていただいています。
こうして、利用者さんがやりがいをもってもらえると嬉しいのですが、同時に、OIDEYOハウスが楽しく、居心地のいい場所でなくては意味がありません。そんな環境作りも私たちスタッフの大切な仕事ですね。

(担当・長谷川亜由美)

webサイト http://oideyohouse.com/
電話番号 0268-73-0005
住所 〒386-2203 長野県上田市真田町傍陽8551-2