5年前の震災に、心を寄せて考える
暖かな陽気が一変しました。
金色に輝くフクジュソウの花も、一面の雪景色に戻り寒い朝を迎えています。
昨日のこと、降りしきる雪を見ているときに、ふと「5年前の東日本大震災の後にも、被災地には冷たい雪が降っていたのだったな」、、と思い出しました。
震災関連の報道も多くなってきていますね。。まるでメモリアルの様に取り扱われることに、抵抗や不信感を覚える人はきっと多いのではないだろうか、と思いながらも、私自身5年前の3月11日のことを詳細に思い出すのは、やはり久しぶりのことです。
古川美穂著 「東北ショック・ドクトリン」(岩波書店/2015.3.15第一刷発行)を開きました。
著者自身が地を這うように取材を重ねた、マスコミではほとんど触れられることのない渾身の被災地のルポルタージュです。
帯には、「創造的復興という名の社会実験にさらされる人々」と記されているのですが、震災からの5年で、掛け声としては正義のあるように聞こえた「創造的復興」の、そのプロジェクトの内実は本当に被災地の人たちの暮らしを救うことが出来ているのでしょうか?
震災後2年ほどまででしょうか、世の中には「絆」という言葉があふれていました。
マスコミにより喧伝された「絆」という言葉を目にすることはなくなりましたが、今でも心ある人たちが紡ぐ被災地の人たちに心を寄せる活動は、小さくてもたくさん継続されていることと思います。
この本の著者が、地道に丹念に被災地の人々の生の声を拾い上げようとする活動もまた、取材を通じて得られた「絆」を大切に思う故のことなのだと感じます。
心を静かに、祈りを気持ちも持ちながら、この本の中にあげられた被災者の方達の生の声に耳を傾けてみませんか?
目次
はじめに 「創造的復興」を追う
第1章 被災地の遺伝子研究
第2章 20年前の創造的復興
第3章 迷走する復興予算
第4章 社会実験にかけられる被災地
第5章 協同ですすめる復旧復興
第6章 仙台空港民営化
第7章 被災地カジノ協奏曲
第8章 イオンが被災地にやってきた
第9章 社会的共通資本としての商店街
おわりに 実験場としての被災地