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【ヒトノユメ通信】展示会期も後半へ入りました。高橋久美子さん&白井ゆみ枝さんに、これまでを振り返って頂きました。

公開: ( ※ 古い情報です ) / 文責:

高橋久美子さんと白井ゆみ枝さん

早いものでヒトノユメ in 長野も後半戦へ入りました。今回のヒトノユメ通信は、リラクオーレが高橋久美子さんと白井ゆみ枝さんにインタビューを行いましたので、その様子をお伝えいたします。

( 取材日 : 2013/10/16 )



今までにない、長い開催期間
リラクオーレ :
さて、ヒトノユメ展の会期もいよいよ半分を過ぎました。これまで開催してきた展示会期よりもだいぶ長期間になるわけですが、これには何か理由があるのでしょうか?
白井さん :

白井ゆみ枝さん
白井ゆみ枝さん

地元ということもありますが、せっかく作っても結構短い期間で終わってしまうのがもったいなかったと感じていたので、今回は長くやろう!といったのは私です。特に徳島ではそう感じていました。あの時は展示していた期間よりも準備のほうが長かったですし。でも、それがユメのように、パッと終わって潔くもありますけども…。
それに、今までよりも会場を見てもらわないと始まらない、ということも感じていたということや、市民として他の土地よりも出足が遅そうだな、というのもありました。
リラクオーレ :
なるほど。たしかに「高高高&ちょっと白」コンサートの時もお客さんに「どちらから来ましたか?」と聞いてみたら8割くらいが東京でした。
高橋さん :
この間の「高橋久美子が行く!in 上田」の時もそうでした。上田の人は5人くらいしかいなかった!
でも、だからこそ一歩踏み出して、会場に来たときの目の輝きが、前回までよりもキラキラしているように感じてます。ボランティアスタッフの山賊団もそれは同じです。そして、少しずつ、地域の方が増えてきているようには感じています。

高橋久美子さん
高橋久美子さん

リラクオーレ :
高橋さんは、会期中は基本的にずっと上田に滞在しているんですよね?
高橋さん :
はい。東京に戻ったのは1日だけです。自分のゆかりのない場所に一ヶ月半という長い時間滞在することは初めてなので、今までよりもどっぷり展覧会に染まっている感覚はあります。「私、なんで今ここにいるんだろう」なんて思ったり。でも、白井さんは私の逆で、今までがそうでしたよね。
白井さん :
やっぱり、最初はとても不安で同じような事を感じました。でも、続けていると段々地域の方々とも馴染んできて、「居場所」になってくるんですよね。ヒトノユメの時は通常よりも人との関わりが強くなるんです。
上田はこういう美術展が開催される機会が少ないので、慣れていないということもあるので、説明会なども開いたりしました。そんな土地だからこそ、やろうとしているというのもありますけども。もうすぐ上田には新しい美術館もできるし、市役所の人もヒトノユメ展にはとても興味を持ってもらってこういう地域に根ざした展覧会を企画していきたいという思いもあるみたいですよ。

会場は笠原工業製糸工場跡を中心に、街ぐるみで。
リラクオーレ :
ここ笠原工業さんでも、こういった展示会をするのは今回が初めてなんですよね?
高橋さん :
(笠原工業さんの)外部の人がやるのはこれが初めてみたいです。でも、何でみんな今までここでコンサートとかしてこなかったんだろう、とホントに思いましたよ。
リラクオーレ :
先日の十五夜祭コンサートの時も、とても良い雰囲気でしたよね。
今回、街の方々とも関わる機会も多いと思うのですが、何か印象的な言葉などはありましたか?
高橋さん :
そうですね。チラシを配ろうと思って商店街を歩いていたら、「この間ね、広島の人が来たよ」とか「皆さん、熱心に作品を見ていくのよ」という声を聞いて、普段出会うことのない人と人が作品を通じて交流できているんだな、と思いました。飾らせてもらうまでには「ウチなんかに飾っても人は来ないよ」とか「協賛金ですか?」なんて声もあったんですけど、始まってみて「やってもらって本当に良かったです」という声を聞けたことがうれしいです。
リラクオーレ :
そうそう。商店街の中に展示してあるのが、とても良いですよね。見つける楽しみがある、というか。ワクワクしますよね。ちゃんとそれぞれのお店にあわせた詩が展示してあるのも良いです。
白井さん :
そうなんです。それは、言葉じゃないと出来ないことだと思うんです。やっぱり絵よりも言葉だからこそ、そのお店と建物と人とのコラボレーションが出来るんです。商店街のたくさんのお店に展示させてもらいました。
高橋さん :
遠くから来た人で、行ってみたらお休みだったお店に「じゃ、また今度来てみよう!」なんて言ってくれた人もいたみたいです。特に地元のメディアの方々は商店街の方により注目してくれている気がします。
白井さん :
私もここ笠原工業さんだけでやっていてもあまり上田の街では広がらないかなぁ、というのはあったので、なんとか街全体で盛り上げていけたら、という気持ちはありました。あまり大きくない街だからこそ出来る事ですし、本当にやって良かったなと思いました。これは自分たちだけでやれることではないので、「街のユメ」(街なかでの展示)の準備の方が結構大変でした。
お店によって入りやすさの違いはあるかもしれないけど、作品を見て「あれ、何だろう?」って入ってくる方が結構いるそうで、それがキッカケで「実はこういう展覧会をやっていて…」という繋がり方が、ひとつの理想の形だったので、やって良かったな、と思います。

高橋久美子さんと詩
リラクオーレ :
高橋さんはチャットモンチー時代も作詞を手がけていましたよね。
高橋さん :
曲の作詞よりも先に、詩は中学生の頃から書き続けていました。それで、バンドに入ったから歌詞もやり始めたという感じです。今もその両方をやっています。
リラクオーレ :
詩に音楽が入ってきて、そして今度は絵が入ってきたんですね。街の中に展示してある作品を見ていると「言葉ってこんな使い方もあったんだ」と今回気付かされました。
白井さん :
あれはとても新鮮ですよね。しかも、クミコン(高橋さん)の詩に合っていると思う。もちろん、こうやって展示会場での絵との組み合わせってのもいいんだけど、もっと枠がないっていうか、生活感のある中に詩があったらすごくイイだろうなと思って。それを展示で閉じ込めてやると難しいんだけどね。
リラクオーレ :
確かに、あのような作品が個室の展示会場にあっても、なかなか伝わらないかもしれませんね。
高橋さん :
ああいうところに飾ると立体感が増す気がします。
白井さん :
全てのお店がそうだもんね。
高橋さん :
そのおじさんの人生を語っているようにも見えてしまうというか。
白井さん :
そうそう、お店ってそういう場所だもんね。
高橋さん :
その人がその場所で何を営んでいるかで、詩に奥行きが出てくる感じがあって、普通の美術館に飾るのとは全然ちがう。自転車屋さんなんて正にそうで、あのガラスを通しておじさんが自転車を修理しているわけで、それが「ああ、いいなぁ」って。

商店街も作品展示会場に
リラクオーレ :
今回のような街の中で大々的に展示するのは初めての試みなんですよね?
高橋さん :
徳島の時は、第2会場を作って、そこで白井さんがずっとライブペインティングをしていたんですが、今回は逆で私が詩を展示してます。お互いにその場所に対する先入観がないというのが良かったのかな、とも思います。今回の場合は、それぞれのお店の予備情報が全くないところから入っていますから、それも良かったのかなと思います。
白井さん :
徳島のとき、商店街で1つ店舗をお借りしてやったんですけど、もうちょっとうまいやり方があるはずだと思っていて、上田でやるんだったら特定の場所じゃなくて、街全体で出来たらいいなと思っていて、立地的にも笠原工業さんは駅前で商店街にも近いというのもありました。
高橋さん :
当初から二人の地元で開催したい、というのが元々あったんです。二人とも田舎の出身だからこういうものを見てもらえる機会が提供できたらな、という思いがあって、だったら会場に来てもらうよりも商店街にあったほうが、簡単に入っていけるんじゃないかな、というのがありました。
白井さん :
笠原工業さんと街と両方ないとダメなんです。ワッコになるための中心はここ笠原工業さんにあって、私達自身が繭みたいになっていて、その糸が街の中に広がっていて、さらにその糸もちぎって蝶々のようになって広がっていく、というイメージがあって。だから、そこら中に蛾というか蝶々が飛んでいるんです。
高橋さん :
今回、製糸業の歴史も色々勉強しましたが、美しい絹糸の裏には、死が隣り合わせているんですよね。最後は蚕をお湯につけてまゆから出して飛び立つ前に死んでしまうから…。まさに「生死」だと思いました。
白井さん :
「ユメ」というものも同じようなものだな、と今回すごく思ったんです。観てもらうときにはとても表面としては美しいけど、その下には色んなものがあって、だからこそ美しいというか。
高橋さん :
こういう場所を選んだからこそ、ですよね。

…と、ちょうど対談も終わろうとした時、白井さんの小学生時代の同級生のお父さんが会場に遊びに来て、卒業文集を持ってきて盛り上がりました!これも地元開催ならではの"繋がり"ですよね。

さて、ヒトノユメ展は11/4(月)まで開催しています。そして、10/27(日)にはMOROHAとのライブもあります。まだヒトノユメ未体験の方は、是非一度足を運んでみて下さいね。