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抹茶処「百余亭」:一服のお茶に心がなごむ和の空間、優しい時間が流れる癒しの抹茶カフェ(長野県上田市)

更新: / 公開: 2010年11月9日 / 文責:
5/30(土)より通常営業されています。 「このひと月弱、緊張の連続だったことと思います。 百余亭のお抹茶と新緑の茶庭で、ちょっと一息されていってください。 お待ちしております。」店主

上田城跡公園の北の出口、いわゆる北虎口を出た所、児童遊園地の隣にある抹茶処「百余亭」。

趣のある文字の木の看板がかかる落ち着いた佇まいの建物の入口を入ると、優しい香りが迎えてくれます。玄関を入り、戸を開けると……、
鮮やかな緑のカーテンが目に飛び込んできました(取材時)。日本庭園に面した大きな窓の枠に映る木々の緑は、まるで1枚の絵画のような美しさです。

部屋は椅子席。茶道の作法を知らなくても心配はいりません。いつでも気軽に抹茶が楽しめます。いただいたのは一服の薄茶。
ほんのりとした苦味とお茶の風味が、添えられた市内「喜八」の上生菓子の上品な甘さとあいまって、口の中でとけ合い、穏やかで温かい気持ちになります。

庭を眺めながら、しばし、お茶を味わう、ゆったりと優しい時間が流れていきました。日常の喧騒を忘れ、まさに心の休息です。

濃茶と薄茶を気軽に楽しむ


濃茶と喜八の上生菓子

軽やかな味わいの薄茶

では、いちおう、そもそも抹茶とはというお話から。特別な方法で栽培した緑茶の一種を碾茶(てんちゃ)と言いますが、それを石臼で挽いて粉末状にしたものが抹茶なのだそうです。で、飲み方は2種類、「濃茶」と「薄茶」です。

「濃茶」は、たっぷりの抹茶に少量の湯を注いで、茶筅(ちゃせん)で茶を少しずつ湯にとかしていきます。「薄茶」は、少なめの抹茶に湯を入れ、茶筅で撹拌します。このため、濃茶はトロッとした感じに「練る」と言い、薄茶は泡を立てるように「点てる」と言うそうで、ふーん、なるほど、なるほど。

お盆にのった市内の名店「喜八」の上生菓子を食べていると、濃茶が運ばれてきました。茶碗の底にある、濃い緑色のトロリとした液体を飲むと、まさに初めての食感。でも、確かに抹茶の風味と、ほのかな苦味が口の中に広がり、のど越しも滑らか。生菓子の甘味とあいまって、ホッと心が落ち着きます。
薄茶は、茶碗の半分ぐらいまで入っていて、香りと苦味は少し優しく、軽やかな感じ。でも、ほっこり心が温まります。
いずれにしろ、作法などを知らなくても気軽にお茶を楽しめます。

何よりお茶には、ビタミン、ミネラル、アミノ酸、サポニン、カテキン、ポリフェノールなどの成分が含まれているので、抗酸化作用があり、美容や健康にも良いとされていますから、ぜひ味わいたいですね。

四季折々の時間を心安らかに過ごす


凛とした雰囲気の茶室

窓から望む日本庭園

百余亭は、テーブルと椅子でお茶をいただく「立礼席」というスタイルです。気軽な雰囲気を演出しているのですが、そこは、やはり伝統ある茶道の茶室。床の間には季節に合った掛軸や花が飾られ、茶釜が置かれていて、凛とした空気が流れています。

でも、それが、また心地よいのです。全体がゆるりとした癒しとは、また違う、一筋通った中にある心の安寧といった感じです。

茶室の大きな窓からは、四季折々の姿を見せる日本庭園が望めます。春の花・新緑、夏の輝き、紅葉、そして雪景色……。それぞれの季節、それぞれの時間を庭と向き合っていると、きっといろいろなことを語りかけてくれるに違いありません。

「定期的に来てくださるサラリーマンの方や奥様がいらっしゃいます。ここで過ごされる時間が、何か新しいアイデアや価値を生むきっかけになってもらえればうれしいですね」と席主の小笠原さん。

市の中心部にありながら、この静けさには驚きます。上田城跡公園を散策しながら立ち寄るには、ちょうどいい場所にあるのですが、車で行くとなると、一方通行が多く場所がわかりにくいという声も。でも、それはそれで隠れ家風でいいようにも思うのです。

奥には、茶会もできる本格的な茶室“香庵”もあり、事前連絡をすれば使えるそうです。

お客様と心を交わす一期一会


落ち着いた佇まい

静かな時間が流れる

お客様が来ると、席主の小笠原さんは必ず二言三言、言葉を交わします。そして、そのときの印象をもとに、お出しする茶碗を決めるのだそうです。

今日、私が選んでいただいた茶碗は「萩焼」。落ち着いた風合いの中に、質実剛健さを感じました。ちょうどやってきた2人の女性には、優しい色合いの高取焼と明るい朝鮮青磁を提供していました。

茶道には有名な「一期一会」という言葉があります。人と人との出会いは一度きりと心得て接するといった意味ですが、小笠原さんは、この言葉を大切にしています。

「たとえ、またお会いするとしても、今、この時の出会いは一度だけです。その出会いを大切にしたいという思いを込めて、今のお客様に合っていると考える茶器でお出ししています」

お客様一人一人に対して思いやりを尽くし、サービスを提供する、これこそが接客に必要な、おもてなしの心であり、店が繁盛して、ただ料理や商品を機械的に提供するようになると忘れてしまいがちなことなのだと思います。

次に訪れるときには、どんな窓の風景が、どんな花が、そしてどんな茶碗が私を迎えてくれるのかを楽しみにして、店を後にしました。

お店からのヒトコト

私が茶道を知ったのは、大学を目指していた浪人時代でした。そんな人生のインターバルにおける出会いが、今に続く大切なものになっていることに、少々出会いの不思議を感じます。
私の家業である食品問屋「小西屋」が、ちょうど創業104年目の年に、そのお茶を通じて、地域の皆様に恩返しができたらと、私と妻で、ここを始めました。だから百余亭です。あれから10年、皆様の支えがあったからこそ、ここまでこれたと思います。

これからも、本当にいろいろな方々に訪れていただければ、うれしく思います。
地域の方、観光の方。外国の方などにも日本の伝統文化を味わってもらいたいですね。
窓側には車椅子用の少し高いテーブルも用意させていただいています。

とくに、地元の皆様には、自分の家のように思っていただけるよう、これからも努力していきたいと思います。

席主・小笠原光三

webサイト http://www.hyakuyotei.com/
電話番号・FAX 0268-21-6060
住所 〒386-0023 長野県上田市中央西1-3-21
営業時間 11:00~16:30
定休日 毎週水曜日(祝日は除く)
駐車場 数台有り
備考 車椅子席有り