【リラクオーレ通信】妻有アートトリエンナーレ、もうすぐ閉幕ではありますが…。
少し前になりますが、新潟県十日町市を中心に3年毎に開催されている芸術祭、妻有アートトリエンナーレに行って来ました。街中をギャラリーに見立てて、たくさんの作品を展示するこの芸術祭、これからの時代に"心豊かな暮らし方"をしていくための色々なヒントが隠されているように思うのです。
2000年から始まったこの芸術祭は今回が5回目の開催。出展される作品の中には、会期終了後も町の中にずっと残るものもたくさんあります。つまり、回を重ねる度に町中に芸術作品がストックされ、各地域のシンボリックな存在になっていく。そのことは、日常の中での豊かさを感じる大きな要素にもなると思うのです。作品はそれ自身の存在にとどまらず、周囲の空気にも影響を与え、住まう人々の心に潤いを与えてくれることでしょう。地域そのものから「活きている」という感覚を感じ取れるのです。
印象的だったのは、普段芸術とは縁のないであろう地元にお住まいの方々が、ボランティアスタッフとして多数協力されていて、森の中や、道路脇、空き家、廃校になった学校、公園等々に散りばめられた作品のことを行く先々で説明してくれたこと。こういうイベントを取り巻く環境全体が、芸術というものは本来、希少価値によって高額な価格で取引されるような、敷居の高い小難しいものではなく、私たちの生活に根ざしたものであることを思い起こさせてくれます。自然の中や、日常的な空間の中にこそ、アートが必要なのかもしれませんね。
また会期中には、作品を楽しむために各地から多くの訪問者が訪れ、広い範囲を移動します。なかなかキッカケがないと入り込むことのない、地元の生活を垣間見ることの出来るような場所にも作品は展示されています。地域の風土を体で感じることができ、地域にとって経済的な効果も、文化的な意義もあるでしょう。
町おこしや、アートというもののあり方を見直す大きなヒントにもなるこの妻有アートトリエンナーレ。関わった人それぞれによって得られるものは様々だと思いますが、リラクオーレとしても何か今後に活かせそうな気がしてます。「心豊かに暮らしていきたい。」そんな想いは誰もが抱いていますよね。アートはそんな暮らし方をするために必要な、人間の根本にある大切な「本能」のようなものなんだ、と改めて思うのでした。