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児玉家住宅カフェ:築110年の古民家で味わう自家農園で採れたオーガニック食材で作る豊かで自然な味わいのベジタブル・ワンプレートランチ(長野県東御市)

更新: / 公開: 2024年3月3日 / 文責:

浅間サンライン「井高」の信号を北上した東上田の住宅街に「児玉家住宅カフェ」があります。立派な門構え、2階建の土蔵、そして、大きなお屋敷。児玉家住宅は、築110年以上になる建物で、国の登録有形文化財に指定されている由緒ある住宅です。
門をくぐり、家の奥にあるカフェは、歴史ある風情の中に落ち着きを感じます。

こちらのカフェでいただけるのが「里山ワンプレートランチ」(1,100円)。べジタブルなワンプレートにご飯、味噌汁 or スープが付きます。今日は栗ご飯とネギ・白菜・大根の味噌汁でした。
〈ワンプレートの7品〉
◎ビーツとトマトとナスのラタトゥーユ風
◎大豆のファラッフェル:ファラッフェルとは、ギリシャ・中東の食べ物で、ひよこ豆をつぶして混ぜて団子状にして揚げたものですが、こちらでは大豆で作っています。
◎タケノコのピリ辛あんかけ
◎西洋ニンジン(パースニップ、白ニンジン)のかき揚げ
◎シイタケと絹さやのバター炒め
◎カブのクルミ味噌のせ
◎ナスタチウムの葉
それぞれの食材の豊かな味が味わえて、自然で優しい味わいです。ランチでいただける食材は、そのほとんどが、自家農園で採れたものばかり。米、大豆、ディンケル小麦(スペルト小麦)、夏野菜(トマト、キュウリ、ズッキーニ、ナスなど)、そのすべてが、無農薬で化学肥料を使わないオーガニックな食材なんです。例えば、籾殻を燻炭で炭にして、糠、枯れ葉、雑草など身の回りあるものと混ぜて有機肥料を作っています。また米作りの際は、菜種油のカスを苗床の土と混ぜています。調味料も、オーガニック(有機栽培)の砂糖、海水の塩です。将来的には鶏も飼って、その卵を使おうと思っているそうです。
食後には、自家栽培無農薬で育った玄米粉のケーキも450円で楽しめます。

「ここで、時期に採れるオーガニックな野菜や豆をベストのタイミングで提供しています。それらを、なるべくシンプルな調理法で、食材一つ一つの個性の味を引き出すよう心がけています」

とは、店主の児玉寧さん、アネマリーさんご夫妻。

児玉ご夫妻がオーガニックにこだわるのには、二人の経験が影響しています。奥様のアネマリーさんはドイツ人。二人は、北海道はニセコの有機栽培農家のアルバイトで知り合いました。一年半後、大学に入学してドイツに帰国したアネマリーさんについて行く形で寧さんも渡独。8年間をドイツで過ごします。その間に二人は結婚。二人の娘さんに恵まれます。
この間、寧さんは大道芸で収入を得ながら、テュービンゲンという街の「ワーゲンブルグ」と呼ばれるトレーラーハウスによる自治区のような場所で暮らしていました。電気はソーラーパネルで自給自足、水は汲み水、トイレはコンポストというオルタナティブな暮らしをしていました。必要最小限のもので、音楽したり芸術したり、自分の時間を大切にする楽しい時間を過ごしたそうです。
また、ドイツは、30〜40年前に消費者が中心となって生産者やメーカーを動かし、オーガニックが当たり前という社会を実現していました。
そんな経験をした二人は、2019年に帰国。すべてをオーガニックにして循環型社会を目指そうと有機農業を始めました。

春には、地域に植生する山菜なども、ふんだんに使います。まさに里山の恵みですよね。そんな時期のメニューを紹介します。
◎ふきのとうのかき揚げ
◎大豆のファラッフェル
◎マッシュポテト・柿酢とあえた味噌を添えて
◎キクイモのオーブン焼き
◎干し柿とナッツ
◎自家製キムチ
◎大根の甘酢漬け
の7品に
◎タクアンののった玄米の入ったご飯
◎白菜とネギとニンジンのホワイトスープ
◎玄米粉のニョッキ
が付きます。

「ランチをご提供して、食卓を囲んでいると、いろいろなお話ができます。食のこと、農業のこと、子育てのこと、地域のこと、世界のことなどなど。人と人とがつながっている、自分と地球がつながっている、そんな確認がとれたりしたらいいですよね」(寧さん)

登録文化財の歴史ある建物の穏やかな雰囲気の中で、ちょっと日常を忘れて、美味しいものを食べながら、ゆっくりとした時間を過ごすなんて、良いですよね。

ところで、今回、お話をおうかがいしたところ、寧さんの海外体験が、それはもう、波瀾万丈なので、そして、その経験が現在のランチにも通じていると思うので、ちょっと紹介しますね。
2024年1月現在、37歳の寧さんの育ちは神奈川県横浜市あざみ野。中学・高校を自由の森学園に在学します。高校卒業時、「世界の同じ世代の人と話がしてみたい」とイギリスに語学留学。パブで働きながら、バブが持つチームでサッカーをしていました。1年を過ごして一時帰国。すぐに、いとこをたよってオーストリアのシドニーへ。サッカーの技を見せたら稼げたので、その後は大道芸の道へ。郊外にあるバイロンベイという町は、アボリジニーの聖地で、オーガニック的な考えの人が多く、自然の豊かさやゆったりとした時間の流れがあったそうです。その後、北オーストラリアで出会ったレバノン人の男性は、少年兵だったが国から逃げてきて、インディアンのディピに住んで、リサイクルでコツコツお金を貯めて、家を建てるというたくましい生き方をしていたとか。その生き方に感動して帰国。そしてニセコへ。アネマリーさんと出会い、三度目の海外の地、ドイツに向かうのでした。

児玉家住宅カフェ
  • 【住所】
    • 長野県東御市和7785
  • 【電話番号】
    • 0268‐62‐0393
  • 【営業日】
    • 日・月曜日
  • 【営業時間】
    • 11:00〜17:00
  • 【駐車場】
    • あり