パン屋 麦香炉:県産、国産、ハーブが香るシチリア産などの小麦粉を使い分けて作った美味しい生地のあんパン、惣菜パンからバゲットまで40〜50種類(長野県小諸市)

小諸市の国道141号沿い、佐久北インター出口を小諸・軽井沢方面に進んだ左手、小諸動物病院の隣に、可愛らしいパンのイラスト看板、ガラスウインドウには季節ごとのお知らせが手書きされているカフェのような建物があります。「パン屋 麦香炉」さんです。
お店に入ると、何種類かのパンが並んだショーケースがあり、レトロな音楽と焼きたてパンの良い香りがします。店内の日当たりの良いガラス張りのサンルームは、淹れ立てのコーヒーが飲めるイートインスペースになっているんですが、なんとそこには、こんな寒冷地にも関わらず、元気に観葉植物が生えています。実はここ、前の屋主さんが大切にしていた温室だったそうで、2階まで届くゴムの木などが地面に根付いていたそうです。
「整備してカフェスペースにしたので、そのうち“ど根性大根”のように植物が生えてくるかもですね」
と話してくれたのは、店主の奥様の水上聡美さん。なんだかワクワクする空間と楽しいおしゃべりでお迎えしていただきました。
店内のショーケースは、手前に引くとパンが取り出せる優れもの! 商品札には、フランスのパン「田舎バゲット」、イタリアのパン「フォカッチャ」などと書かれ、ほかにもアメリカ、日本、麦香炉オリジナルなど、た〜くさんの種類が並んでいて、なんだかウキウキしてきます。早速、いくつかのパンをいただきました。
まずは「田舎バゲット」(250円)。噛めば噛むほど味が出て、生地の旨みと麦の香りが感じられます。ハードタイプがお好きな方はハマりますよ! ちょっと焼いていただいたので香りも香ばしくバターでもオリーブオイル&塩でも美味しくいただけました。ハーブやトマト、チーズなどのカナッペにしてもいいかもです。
次に「くるみパン」(120円)。香ばしいくるみとパンがバランスよく配合されていて、よく噛みながらじっくり味の変化を楽しめるパンでした。
美味しいパンをお客様に届けるために店主の水上浩二さんがこだわっているのはパンの生地、とりわけ小麦粉です。長野県産や北海道産、外国産など、いろいろなところからサンプルを取り寄せて、その中から自分が美味しいと思うものを探しているそうです。
「いろいろと副食材を工夫したりもしますが、パンの生地が美味しければ、何でも美味しいんですよね。美味しい生地を作って、それに合う食材を探しています。」(浩二さん)
現在は、9種類ほどの小麦をブレンドして、パンの用途に合わせて使い分けているそうです。
その中に、イタリアはシチリア島原産の「デュラムセモリナ粉」というパスタ用の小麦粉があります。周りに生えている野生のハーブと一緒に収穫して、製粉するまでは同じ倉庫に保管しているので、ほのかにハーブが香るそうです。 また、この粉は現地で製粉した粉を冷蔵コンテナで輸入するのでポストハーベストの心配がありません。デュラムセモリナ粉100%の「セモリナバゲット」(250円)や、生地に豆乳由来のクリームチーズ様素材を練り込んだ「豆乳セモリナブール」(260円)は、確かに、どこかさわやかな風味を感じます。バゲットは、イタリアの職人さんから教わったイタリア系フランスパンで、ブールは、そのもっちり柔らかな食感がたまりません〜。
ところで、水上夫妻は、同じ大学の先輩・後輩なのだそうです。海洋学部という理系出身の二人。ちょっとパン作りとは縁遠いような気もしますが……。
「パン作りって、突き詰めていくと化学式が出てくるんですよ。だから、けっこう大学時代の経験が役に立っているんじゃないかと思います。」(浩二さん)
麦香炉さんでは、小麦粉だけでなく、イースト菌やサワー種など酵母も使い分けていますが、とにかく試してみなければわからないとのこと。
「化学変化が起きて、どう味が変わるんだろうか……、パン作りって化学実験の延長みたいなんです。大変だけど、楽しいので、半分は趣味みたいなところがありますね。(笑)」(浩二さん)
浩二さんの実家は千葉県、聡美さんが長和町の出身ということで、2016年、長野県にお店を出したお二人ですが、なぜにパン屋さんを始めたかというと、
「浩二さん、早起きが得意で、小さいときは粘土遊びが好きだったんですよ。これって、妙に説得力ありません?(笑)」
と聡美さん。確かに妙な説得力あります(笑)。
麦香炉さんのパンの多くはマーガリンやバターを使用せず、国産牛の牛脂を代用するなどの工夫を凝らし、小麦の香り高く仕上げていますが、そんなパン作りへの思いや、使っている小麦・酵母・副材料などについて可愛いワンちゃんのキャラクターが解説してくれるファイル「名探偵ロンの事件ファイル」が店内に置いてあるので、ぜひ読んでみてくださいね。
ところで、取材に伺ったのはクリスマスシーズンでしたので、「シュトレン」をいただいて帰りましたが、これが、今まで食べた中で一番と言ってもいいほどの美味しさ! というのも、このシュトレンを監修したのは聡美さんのおじさまである八木淳司さん。
実は、八木淳司さん、オーストリア政府公認製菓マイスターの資格を、ドイツ人以外の外国人としては世界で初めて取得した方なんです。軽井沢プリンス勤務の後、現在は神戸に在住し、洋菓子のモロゾフなど企業のテクニカルアドバイザーや製菓学校の講習、あるいは、日清製粉と一緒に障害のある子どもたちに技術を伝える活動もしているそうです(詳しくは → コチラ )。
さて、最後にもう一つ。店内のカフェスペースには、昔、喫茶店やゲームセンターにあった「インベーダーゲーム」が、なぜか置いてあるんです。
「けっこう子どもたちが喜んで遊んでいたり、時には、親子で遊んでいる姿も見られて、何か私もホッコリした気持ちにさせてもらえるんですよね。」(聡美さん)
あなたも、昔懐かしいインベーダーゲームいかがですか。
【ほかの主なパン】
- フォカッチャ 150円(生地にマッシュしたジャガイモを練り込んでいる)
- イギリス食パン 260円(高加水・高温短時間焼成で、そのままだとしっとり、焼くとサックリ)
- ライ麦食パン 280円(ライ麦5%配合でライ麦初心者でも食べやすい)
- 全粒粉食パン 280円(石うす挽きした長野県産の全粒粉“ゆめかおり”を10%配合)
- 丸太プレーン 240円(人気の丸太パンで、離乳食など乳幼児期のお子さんにピッタリ。丸太メープル300円も)
- チャーシューエピ 300円(中にはチャーシュー、外には自家製の塩ダレを塗ったパン)
- アスパラベーコンマフィン180円(店主自信のパン)
- コロッケロール 180円(牛肉コロッケがまるまる1個入ってボリュームたっぷり)
- 角煮ボール 320円(星野リゾートにも卸すことのある業者から仕入れた角煮)
- エビフライロール 250円(具だくさんのタルタルソースがエビの旨味を引き立てる)
- ぶどうパン 360円(ドイツのクリスマス菓子シュトレン型のぶどうパン)
- メロンパン130円(八木淳司さんが開発に携わったフランス産小麦を100%使用)
フランス産小麦のメロンパン - 白あんパン 100円(こしあんとはまた違った上品な口当たりで、大人の女性に人気)
- みそあんパン 110円(信州味噌を使用したオリジナルブレンドのみそあん)
- アンパンマン(チョコ)100円(店主の元気とやる気によってアンパンマンの表情も変化する)
- クリームパン 100円(豆乳クリームでさっぱりと)
などなど
お客様からのリクエストを商品化することもあるので、お声がけしてみてください。
水上浩二・聡美
Tel/Fax | 0267-41-6946 |
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住所 | 長野県小諸市御影新田2724-3 |
営業時間 | 10:00~18:00 |
定休日 | 木曜日(不定休あり) |
駐車場 | 5台 |
webサイト | http://mugikoro.hungry.jp/ |