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名もない農家:完全無農薬の生命力あふれる田んぼで育つお米は美味しい! 農作業で自分と向き合い、自然の中の居心地の良さを感じたら、心も身体も元気に!! (長野県東御市)

更新: / 公開: 2018年12月13日 / 文責:

とある夏の早朝6時、東御市の「名もない農家」さんの田んぼで行われた参加体験イベント『朝活! 田んぼの除草&みんなで朝ごはん』に参加しました。

「名もない農家」さんは、廣田裕司さん・美和子さんご夫妻が、14年前、裕司さんのご実家の田畑を引き継ぐ形で農作業を始められました。次世代の子どもたちに健全な環境を残したいという想いから、完全無農薬・無化学肥料で栽培しています。

イナゴも元気なやさしいお米

イナゴも元気なやさしいお米

なので、8月のこの時期のイネは、夏の陽射しをいっぱいに浴びて、いよいよこれから、たわわな実を付けようとウズウズしていますが、それに負けないくらい元気に(?)、ヒエやオモダカ、ミズアオイなどの草たちがはびこっています。皆から「かあさん」と呼ばれている美和子さんは、

「いや~。この草の量“半端ねえ~”ですよね。でも、草は生えていなくて何かシーンとしている田んぼと比べて、草もいっぱいだけど虫たちがたくさんいて、何だかにぎやかな田んぼのほうが、生命力があふれていて、お米も元気に美味しくなる気がするんですよね!」

当日参加したのは、子ども4人を含む総勢20人。まずは田んぼの畦にビッシリと生えている草を取ってから、次は田んぼの中へ。でも、一歩足を踏み入れたとたん、その大変さを実感しました。

太陽の恵みの野菜たち

太陽の恵みの野菜たち

ぬかるみに足を取られ、立っているのがやっとなんです。バランスを保ちながら前に進むには、相当に筋肉を使います。悪戦苦闘しながらも、草を取り続けると、今度は腰痛! いやはや情けない……。でも、降り注ぐ太陽の日差しの下、少しあたたまった水の中の草取り作業を続けていると、命を育む大地とどこか一体になったような気持ち良さを感じました。

開始から小一時間、「そろそろ終わりにしましょう~」の声を聞きながらも、もう1本もう1本と手が止まりません。取り残したくない、自分の責任を果たしたいというヒューマニスティック欲求なのでしょうか。

そして終了~! 田んぼの脇には山盛りの草が積まれました。そこには、ちょっとした満足感が……。でも、考えてみたら20人が1時間かけて、この量。これを廣田さんご夫妻が二人だけでやるとしたら、どれだけの時間がかかることやら。「無農薬」に取り組むということが、生半可な覚悟ではできないことと、それを実行している廣田さんの偉大さを痛感します。

働いた後のご馳走が楽しみ

働いた後のご馳走が楽しみ

でもでもクタクタになった私たちに、うれしいご褒美が! それは田んぼの横の畑にたわわと実っているミニトマト。こちらも無農薬なので、手でもいで、キュキュッと吹いて、そのままパクリ! 安心です。これがまあ、美味しいのなんの。甘みがあって、コクがあって、それでいてジューシー。これがために草を取り続けたと言っても過言ではないかもです。

そしてそして今日は、さらにうれしいことに、Localbench(ローカルベンチ)さんの朝ごはんが待っていたのでした~。ローカルベンチさんは、同じ東御市にあるパン屋さんで、店主の中嶋厚志さんは、もともとはフランス料理のシェフ。今日のメニューは、名もない農家さんのお米と野菜を使ったリゾット&お総菜でした。その地味豊かな味わいは、疲れた身体の五臓六腑に染み渡り、まさに至福のひととき。この気分は、労働したからこそ味わえるんですよね。

僕だってできるよ〜

僕だってできるよ〜

その中嶋さんは、「名もない農家」のサポートメンバーで、その活動を支えています。 ほかにも、奥本農園の奥本さんご夫妻、パソコン教室を営む竹内裕子さん、農家民宿Omiyado(おみやど)の宮下広将さんがメンバーです。

誰もが自然体で居られる、皆が集まる場所

夏の親子キャンプ

夏の親子キャンプ

今日のように「名もない農家」さんには大勢の人が集まります。かあさん曰く、

「私はね、ここが『誰もが自然体で居られる場所』になったらいいなって思うんです。農作業が“自分と向き合う”、逆に“自分を忘れる”時間になって、自然の中で過ごす居心地の良さを感じたら、心や体が疲れていても、きっと元気になれるんじゃないかしら」

そんなかあさんは、実に、た~くさんの顔を持っているんです。児童館の指導員、自然体験指導員、セーフティネット・サポーターなどなど。そんな中で、さまざまな環境にいる多くの子どもたちと接し、向き合ってきました。 また、遊休農地を開墾して大豆を蒔く活動をしたり、障がい児・健常児がともに楽しむ『夏の親子キャンプ』に協力したり、いろいろな活動もしている中で、今の「名もない農家」さんのスタイルができあがってきたのでした。

カブトエビ(Wikipediaより)

カブトエビ(Wikipediaより)

そして14年。無農薬農業の作業量は多く、苦労も多かったとのことですが、廣田さんご夫妻は、そのスタイルを信念でやめなかったそうです。そうして今! 田んぼにある変化が!! カブトエビが繁殖したのです。カブトエビは甲殻類の一種で、稲の生長を妨げる雑草を食べてくれるので、農家から「田んぼの草取り虫」と呼ばれているのですが、最近は、その数が減ってきているそうです。確かに私の周りの田んぼでも、カブトエビに限らず、おたまじゃくしは見ても、水生生物は、とんと見かけなくなってしまいました。ご主人の裕司さんは、

「いや~、うれしいよね。これが田んぼ本来の姿なんだから! そんな田んぼをもっともっと増やしていけたらいいよね」

と笑顔で話されていました。

農作業のお手伝いでポイント還元

そんな「名もない農家」さんのお米や野菜をいただくには、どうすればいいのかというと、まず、ときどき開催されるマルシェなどのイベントに出店しています。それから天日干し・自家精米のお米はホームページからも注文できます。でも、かあさん曰く、できたら田んぼや畑に来て、農作業を手伝ってもらえたらうれしい、とのことでした。もちろん、農作業に人手が欲しいのは確かですが、お手伝いをすることで、農作物に親しんでもらえれば、よりお米や野菜もよりいっそう美味しくなるのでは! ということなんです。で、作業をしてもらえるとポイントが貯まります。1時間1ポイント! ポイントに応じて農産物が還元されます。目安としては3ポイントがお米3合に換算されるそうです。やってみたいという方は前日までにご予約を。

米ぬかと玄米のecoカイロ

米ぬかと玄米のecoカイロ

さて最近、「名もない農家」さんに新しい部門が加わりました。その一つが、ボディケア部門。手始めとして製品化されたのが「米ぬかと玄米のecoカイロ」。電子レンジで温めて使うんですが、玄米は温めることで中の水分が水蒸気となり加熱されます。カイロを当てたところの毛細血管からジワーッとやさしい温かさが広がり、血流が良くなるので、身体の芯からポカポカに! 夏は保冷剤としても使えます。

アロマワックスバー

アロマワックスバー

もう一つがフラワー部門。フラワーアレンジとして、ドライフラワー、ブリザードフラワー、ハーバリウムなどの作品を作ってマルシェなどに出店したり、お客様のオーダーメイドにも応えています。専属作家は、娘さんの田中理恵さんです。

最後に、きっと皆さん気になっていると思う「名もない農家」さんの名前について。よくある○○農場とか○○農園とかみたいにしても、それほど大それたことはできないよ〜という気持ちから付けたのだとか。14年たった今、その名もない農家を通じて多くの人がつながり、どんどん、その輪が広がっています。

お店からのヒトコト

「名もない農家」を始めた頃は、どんどん遊休農地が増えている時期で、荒れた風景が広がっていました。それが悲しくて、「私たちも頑張ってやってみるか~」って始めた農業でした。実は最近、娘に子どもが生まれて、なんと、私おばあちゃんになっちゃったんです。その孫が生きる世界は、それでも何とか想像できるんですが、100年後のひ孫の時代となると、想像ができません。なので、私たちにできることといえば、今の環境を残すことじゃないかと。健全な環境さえ残っていれば、生きていくことはできます。それが私たちの責任ですよね。

廣田美和子

電話番号 0268-67-2108
住所 長野県東御市島川原239-4
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website 名もない農家