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田島征三 新作絵本『あめがふるふる』原画展 開催中! @読書の森 親交ある方々からの便り~荒井きぬ枝・関孝之 〜9/30

更新: / 公開: 2017年9月22日 ( ※ 古い情報です ) / 文責:

9月30日(土)まで、小諸市の「茶房 読書の森」で、絵本作家・田島征三さんの「田島征三 新作絵本『あめがふるふる』原画展』が開催されています。

勝手な印象ですが、名作『ふきまんぶく』を彷彿とさせるお話と絵で、ふきまんぶくでは途中から幻想的な雰囲気になりましたが、『雨がふるふる』では、兄妹の楽しい空想の船に乗り・・・というお話でしょうか。絵の中にちょっとした判じ物みたいな仕掛けもあり、と。おおっと!これ以上は原作を見てのお楽しみ!
征三さんの旺盛な創造世界は地球を飛び越え、宇宙の彼方の星「Tashima Seizo」にまで飛んでいきます。(Facebookより抜粋)

田島さんは、長野県との関係も深く、多くの人と親交がありますが、そんな田島さんと関わりのある皆さんからコメントをいただいて掲載してまいります。

●田島征三さん●
多摩美術大学在学中に手刷り絵本『しばてん』を制作。以来、問題ある絵本を創り続けている。新潟県十日町で廃校になった小学校をまるごと空間絵本にした「絵本と木の実の美術館」を2009年に開館。瀬戸内国際芸術祭でも『大島青空水族館』と『森の小径』を制作。『木の実絵本第三弾』を制作中。

■荒井きぬ枝さん(Editor’s Museum「小宮山量平の編集室」代表)
改めてご紹介する必要はないかもしれませんが荒井さんは、上田市出身で出版社・理論社を設立した編集者であり作家である小宮山量平氏のご長女でいらっしゃいます。
小宮山氏と田島さんが出会って間もない頃、小宮山氏が、1965年にロンドンで開催される「南アフリカ政治犯救援国際美術展」へのカンパを呼びかけたのに対し、田島さんが、『原爆の図』の丸木位里さん、絵本作家の長新太さんらとともに応えたことがあったそうです。当時、南アフリカではネルソン・マンデラ氏らが、政治犯として投獄されていました。
以来、お二人の信頼関係は2012年に小宮山氏が亡くなるまで続き、さらに今日でも田島さんは、長野県を訪れるたびに編集室立ち寄り、「若菜館」の鰻を食していくそうです。

私自身、昔から田島先生のファンなんですね。子どもができてからは、先生のエッセイを読んで、子どもとの向き合い方や育て方に影響を受けたと思います。
編集室には、畳ほどの大きさの田島さんの初期の作品が置いてあるんですが、田島さんは、ここにいらっしゃるたびに、優しい眼差しで嬉しそうに、この絵を眺めていくんですよ。(荒井さん)

理論社から1973年に刊行された『猫は生きている』(早乙女勝元/著・田島征三/絵)では、第二次世界大戦末期の東京大空襲での惨劇を描いています。空襲の当時、田島さんは5歳でした。

『僕は空襲の写真集を資料にしながらこの絵本を描いた。写真集の中には、逃げ場を失って焼け死んだ母と子の真っ黒な死体が無数にころがっていた。……中略……
希望にあふれた人生を、突然乱暴にも断ち切られた子ども達のことを、僕たちは決して忘れてはいけない』(画家のあとがきより抜粋)

田島さんは、今も精力的に活動されて、二度とあの悲惨な戦争を起こしてはならないことを訴え続けていらっしゃいますよね。(荒井さん)

私たちには、戦争の悲劇を今の世代の人たちに伝えていく責任があることを痛感します。

Editor’s Museum「小宮山量平の編集室」HP → コチラ

■関孝之さん(NPO法人ながのアートミーティング代表)
長く障がい者福祉の現場で活動する中でアール・ブリュットと出会い、現在、障がいがある人に対するアート活動に関する事業を行い、自己表現の場を提供する「ながのアートミーティング」の代表を務めていらっしゃいます。
田島さんも日本でアール・ブリュットという概念が広まる以前から、その価値を発信していました。

難しく考えるのではなく、表現をそのまま面白がればいいと気づいて、障がいのある人のアートに関わり始めるきっかけとなったのが田島先生の作品でしたね。
1998年、長野オリンピック・パラリンピックの後に長野アートパラリンピックの実行委員に加わったときに、千曲市の板画家・森貘郎さんと、彼の作品などが並ぶ美術館「杏の里板画館」で『田島征三展』をやろうということになったんです。そこで、田島先生の木の実の作品を、東京の日ノ出町のご自宅まで取りに行って、雨ざらしになって置いてあった作品をあずかって一緒に並べて展示したことがありましたね。(関さん)

アール・ブリュット(生の芸術)とは、美術の専門的な教育を受けていない人が、内発的な情動によって斬新で個性的な作品を生み出すこととされていますが、現在、日本では「障がい者の美術作品」のような意味で使われています。

障がい者アートという言葉に、私は違和感を感じるのですが、田島先生も、以前に胃がんを患っていらっしゃった頃、「じゃあ、俺の作品は“胃がんアート”か?」っておっしゃっていました。
僕らは、子どもの頃にいろいろな表現をしていて、いろいろな感覚を持っていました。もっと言えば、人類も縄文時代からいろいろな感覚を持ち合わせていました。それが大人になる過程の中で、人類の進化の中で、見失ってきた、あるいは、余計なこととして鈍らせてしまった。アール・ブリュットの作品は、そのもともと持っていた感覚をくすぐるのだと思います。そう、何か、ざわざわするんですよね。それは、障害の有無には関係がなく、むしろ美術の技術に裏打ちされないことで伝わる情動なんだと思います。ただ、障がいのある方への理解としては感覚的につながるということが一番かとは思いますね。(関さん)

ながのアートミーティングFacebook → コチラ

田島征三 新作絵本『あめがふるふる』原画展』
  • 【日程】
    • 2017年9月30日(土)まで
  • 【入場料】
    • 無料
  • 【会場】
    • Guest house &茶房 読書の森 (長野県小諸市大字山浦5179-1)
  • 【問い合わせ】
    • TEL.0267-25-6393/ E-mail:email hidden; JavaScript is required