てんしのけーき:コクがあるのに後味がライトなチーズケーキと、ふわモチっとしたシフォンケーキが、温もりと小さな幸せを届けます(長野県長野市)
「“てんしのけーき”のチーズケーキ食べてみて!」と地元の友人たちに聞き、楽しみにしていたケーキ屋さん。信州は善光寺界隈、城山動物園からほど近い上松の住宅街の中に、ひっそりと佇んでいるとのこと。路地の看板に導かれてたどり着くと、オレンジ色の小さな可愛いお店がありました。
「てんしのけーき」の主なメニューはチーズケーキ、シフォンケーキ、ショコラケーキ。そして信州の果物をたっぷり使った季節のタルトなどです。
チーズケーキは、濃厚でほんのりとした甘さとチーズのコクがまさに幸せのひととき。それでいて後味はライトで重すぎないので思わず、もう1つ手が出てしまいます。
「海藻粉末、胡麻など独自の飼料を与える『信州黄金たまご』がコクを生み、蒸し焼きにすることであっさり食べられる工夫をしています」。
そう話すのはパティシエールの母袋風実(もたいふみ)さん。
チーズケーキにはたくさんの種類があります。その中でも私のお気に入りは「ホワイトチョコとブルーベリーチーズケーキ」。チーズケーキ本来の味わいにホワイトチョコの深みのある甘みが重なって、まろやか~。大きめのブルーベリーの適度な自己主張がアクセントとなっているんです。
シフォンケーキは、ふわふわしながらも「モチッ」とした弾力があります。ここがポイント。豆乳を使うことでコクが増しているそうです。
ショコラケーキはシンプルにショコラそのものの味を引き出しています。カカオ好きにはオススメ。
すべてのケーキに「てんさい糖」を使っているので、小さなお子さんからお年寄りの方まで、すべての人に優しく食べやすくなっています。定番のケーキや旬の果物を使ったタルトなど地元産の季節の食材を使ったケーキがたくさんあるので、気分で選べるのも楽しみの一つです。
高校生の頃にはパティシエールになることを夢みていた風実さん。有名菓子店で働きながらその腕を磨きました。オリジナルケーキを作り始め試行錯誤していた頃、風実さんのケーキを食べに来たお客様が「このケーキ、天使が舞い降りたみたい!」と言ってくれたそうです。その一言を受け、これからもそうありたいという願いを込めて、現在のお店の名前になりました。
2012年11月23日「天使のけーき(現てんしのけーき)」オープン。自分本来のリズムで生きているとシンクロニシティ(偶然の一致)が増す…と聞きますが、オープンした日はまさに“いい風実(1123)”だったという素敵な偶然が生まれました。丁寧な言葉使いでいつもニコニコ。そんな風実さんの優しい人柄が天使の味を生んでいるのかもしれません。また、お店の温かい雰囲気にお客様も思わず世間話をして、長居してしまうそうです。ぜひ一度お店を訪ねてみてくださいね。
400人への感動のケーキ
美術家で絵画教室の先生でもある母の京子さんは、風実さんと一緒にお店に立つこともあります。そんな京子さんは、早くから風実さんの素質に気付いていたそうです。使っている調味料を当てるのが得意だったり、京子さんが仕事で夜が遅いときには弟のために夕飯を作ってあげたり、とキッチンに立つことが自然だったとのことです。
実は風実さん発達障害を抱えていて、進学や就職について思い悩むことが多かったそうです。菓子店で働き出しても、なかなか上手くいかず自信が持てない時期が続きました。そんなときに東日本大震災が起きます。「私に何ができるだろう…」と考えた風実さんは決断します。
「ケーキを届けよう!!!」
知人の紹介で仮設住宅の方々400人分のケーキを作ることにしたのです。風実さんは、菓子店での仕事を終えてから自宅でケーキを作り始めました。毎日コツコツ一つ一つ丁寧に。「無理しないで」という京子さんの心配と声がけに励まされ、気負うことなく黙々と作り上げました。そして自家用車にのせて被災地へ! 一人一人に直接お渡しし、喜びの言葉をいただけたことが風実さんの今へとつながっているそうです。そして、「箱から開けて口に運んだとき、思わずニコッとできる優しく温もりのある味のケーキを作ろう」と決めたのでした。
どんな状況でも「私にできることは何だろう」と自分の内側に意識を向けられる風実さん。自分の軸がブレずにしっかりとしている素敵な女性です。
多くの人の温かい眼差しに見守られて
てんしのけーきは、たくさんの人々によって支えられています。アコーディオンの音色で育てた洋梨を届けてくれる果樹園農家さん、卵を注文すると「はぁい。100箱もっていくね!」なんて冗談を言いながら来店してくれる養鶏農家さん、アンズが終わってしまった…というタイミングで、ちょうど「アンズいるか~?」と連絡をくれるアンズ農家さん等々。風実さんの周りには自然とユニークで温かい方々が集まってきているようです。そんな雰囲気の中で作られるケーキだからこそ、軽やかでふんわりとした味になるのでしょう。パティシエールを目指し、天使のけーきができるまでの10年間の道のりは、家族……、特に母の京子さんの理解と協力がとても大きかったと風実さんは言います。そんな深い信頼関係で結ばれた家族愛が、ケーキに感動をプラスする一番の要素なのかもしれないですね!!♪
- 主なケーキ
- チーズケーキ
NYチーズケーキ/ストロベリーチーズケーキ/ホワイトチョコとブルーベリーチーズケーキ/スフレチーズケーキ/チョコマーブルチーズケーキ/ミニNYチーズケーキ - シフォンケーキ
プレーンシフォン/チョコレートシフォン/抹茶シフォン/バナナシフォン/芥子の実とレモンのシフォン/やきいもシフォン/ハチミツとジンジャーシフォン/かぼちゃと胡桃シフォン/イタリアンシフォン/黒糖とレーズンのシフォン/りんごとメープルシフォン/摘みたていちごシフォン - ショコラ
ガトーショコラ/信州りんごとアーモンドプードルチョコケーキ - 季節のタルト
いちご/もも/りんご/プラム/洋なし/いちじく/ルバーブ/雪国パッションフルーツ etc…
- チーズケーキ
ケーキって、家族や友逹みんなで食べると幸せな時間が流れますよね。だから好きなんです。自然である、身体に優しい、地元の食材で作ることを心がけていますが、でも、それが最終目的ではないと思っているんです。そこばかりを意識していると無味乾燥なものになってしまうから。目的はあくまでも「美味しさの感動」をお届けすること。見た目の綺麗さを繕うことなく、多少は不格好でも自然のままをお届けしたいんです。鮮やかでなくても、少し時間がたって熟した果実のほうが美味しいんですよね。どうぞ、お召し上がりください!
母袋風実
webサイト | http://www.tenshinocake.com/ |
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電話番号 | 026-405-6924 |
住所 | 長野県長野市上松2-4-30 |
営業時間 | 10:00~19:00 |
定休日 | 月・火曜日 |