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【リラクオーレ通信】スターグリルさんキノコのこぼれ話2 「キノコ王国、日本!」

更新: / 公開: 2010年12月20日 ( ※ 古い情報です ) / 文責:

スターグリルのシェフ・内堀篤さんへのインタビュー。こぼれ話の後半です。

前回で、キノコには、木と共生するタイプと、木を枯らすタイプがあるという話をしました。枯らすと言うと何か物騒ですが、いえいえ、木材や葉を形づくっている有機物を分解し、土に戻す還元者としての役割をキノコは担っているんです。木が枯れることで、森の中の風通しがよくなり、そこにほかの植物が生えます。そうして、豊かな森が維持されていくわけです。
つまりは、キノコがあることで森の健康が保たれているのです。

ところで、前回のお話に出てきたトリュフ、日本でも新潟の柏崎で見つかっているってご存知ですか? ヨーロッパのものとは種類が違うようですが……。
実は、日本って、ものすごくキノコの種類が多いそうなんです。ヨーロッパは少ない。なぜかというと、ヨーロッパは氷河期に森林が一度絶滅していて、キノコも一緒に死滅したから。日本は、ずーっと森林が続いていたことや南北に長くて気候も様々なこともあって、木の種類も多く、当然キノコの種類も多いのです。

でも、それだけにキノコの分類がなかなか進まないという現実があります。今、8,000~12,000種類ぐらいあると言われているキノコの中の約4,000にしか名前が付いていないそうです。キノコの研究をしている人が少ないんですね。なぜなら、お金にならないから。
食べるほうも、ある程度決まったキノコしか食べていません。

かたやヨーロッパは、キノコの種類が少ないから分かりやすく、なおかつ、鑑定してくれる人が身近にいるんです。フランスでは薬局にキノコを持っていくと鑑別してくれます。山に行ってキノコを採って、鑑別してもらって家庭で料理するという環境が整っているんですね。だからキノコの料理書などもたくさん出版されています。キノコ狩りが国をあげてのイベントになるほど、国民のキノコに対する愛着や意識が高いんです。

日本でも、キノコ狩りを行っていますが、最近は、車で森のかなり奥にまで行けるようになったので、こんな所までという場所に空き缶が落ちていたり、パンの袋があったり、そういうのを見ると、意識のレベルの低さを感じてしまうそうです。

例えば採取の仕方にしても、キノコをそのまま抜くと、菌糸が切れてダメージを受けることになり、その後はそこに発生しなくなることもあるそうなのです。だから、キノコを大事にする人は、抜かないで切るんですね。

やはりヨーロッパはそのあたりの意識も高くて、切って、その場でキノコを掃除できるキノコ狩り用のナイフなどが普通に売っているほどです。

「キノコは森の宝物。森自体が生きていて、その恵みをいただくけれども、それを壊さずに残す」という意識を常に持って行動したいですね。