六本木の伝説のバー「ザ・クレードル」の珠玉の映画&演劇ポスター展 開催! 黒澤明、フランシス・コッポラ、アーノルド・ウェスカー……、世界中の文化人との魅惑の交遊録 @アート・イン・クラフト
1971年六本木にオープンした伝説のバー「ザ・クレードル」。オーナーで名物ママの椎名たか子さんの元には自らポスターを携えて世界中の文化人が集まってきました。数々のポスターは壁から天井まで店内を埋め尽くし、店の雰囲気に一役買っていました。
クレードルは開店から36年後の2007年に惜しまれながら店を閉じました。閉店に伴い店内を飾ったポスターの多くは常連客に貰われていきましたが、彼女が手元に残した特に思い出深いポスターと共に、在りし日のクレードル店内の写真、たか子さんの父で映画監督だった青山三郎氏の撮影風景など貴重な写真・書籍が展示されています。
現在、たか子さんは長野県東御市にお住まいで、生前クレードルの常連だった作家の水上勉氏が晩年過ごしたお宅のご近所、アート・イン・クラフトとも目と鼻の先です。
今回展示されている主なポスターは以下のとおりです。
●黒澤明監督「影武者」カンヌ映画祭ポスター(サイン入り)と国内用ポスター
1980年にカンヌでグランプリをとった影武者。1枚は日本で公開時の黒澤監督のデッサンを基にしたポスター。もう1枚はカンヌ用に作られた特別なポスターで、こちらには「黒澤明」と「Akira Kurosawa」のダブルの直筆サイン入り
●フランシス・コッポラ「地獄の黙示録」映画ポスター(サイン入り)
1979年にカンヌでグランプリを受賞した地獄の黙示録。監督のフランシス・コッポラは撮影中にスタッフ・キャストとともに来日し、クレードルをしばしば訪れたとのこと。彼は尊敬する黒澤明の影武者の海外版をプロデュースしています。そんな2人の関係がうかがえる2枚のポスターです。
●アーノルド・ウェスカー三部作・演劇ポスター(サイン入り)
クレードルの開店に色々アドバイスをし、その店名の名付け親がイギリスの劇作家アーノルド・ウェスカー。彼の有名なウェスカー三部作(「大麦入りチキンスープ」「根っこ」「僕はエルサレムのことを話しているのだ」)のポスター。
●ピーターシェーファー「エクウス」演劇ポスター(サイン入り)
イギリスの劇作家ピーターシェーファーは、イギリスの劇作家で映画にもなった『アマデウス』の作者として知られています。アマデウスの公演で来日し、クレードルに立ち寄って彼の代表作「エクウス」のポスターにサインをしています。
●リチャード・ブローディガン宣伝用ポスターと「東京モンタナ急行」英語版の表紙
1960年代に出版され、世界中で200万部以上売れた『アメリカの鱒釣り』の作者リチャード・ブローディガンは椎名さんの大親友。彼の後半の著作『東京モンタナ急行』の裏表紙には椎名さんとブローディガンがモデルとなった写真が使われています。
●ブレヒト「三文オペラ」演劇ポスター1・2、「アルトゥーロ・ウイの興亡」演劇ポスター
ミュージカルの原点といわれ世界中で公演されているベルトルト・ブレヒト作「三文オペラ」。彼の娘で劇団を主宰していたバルバラ・ブレヒトから直接送られたポスターです。
●青山三郎監督「戯れに恋はすまじ」映画ポスター、宣伝用ポスター
●青山三郎監督「真夜中の酒場」映画ポスター
●青山三郎監督「町」映画ポスター
青山三郎監督は、サイレントからトーキーに移る頃の監督で、鈴木傳明、夏川静江、霧立のぼる、高田稔など、当時の人気俳優を使って撮っています。
「戯れに恋はすまじ」の映画ポスターにある「オールトーキー」は、本格的トーキーの第1号ということ。製作した日活も、かなり力を入れていたようで、封切りの直前に、赤坂のフロリダというダンスホールで行われた映画のキャンペーンの宣伝用ポスターです。
さほど広くないギャラリーに14枚のポスター。ただ通り一遍で見れば、ものの5分ですんでしまうかもしれません。でも、その背景にある世界を舞台にした、不思議な縁でつながった、人と人とが織り成す物語を感じながら閲覧すると、1日いても立ち去りがたいかもしれません。
■伝説のバー「ザ・クレードル」のポスター展
- 【期間】
- 4月27日(土)~5月6日(月)及び5月26日(日)までの毎週金・土・日曜日
- 【時間】
- 午前10時~午後4時
- 【場所】
- アート・イン・クラフト(東御市八重原2686-13クイーン・ハーベスト内)
- 【問い合わせ】
- TEL.0268-67-1450
詳しくは、下記のホームページ・ブログをご覧ください。
ホームページ:http://artincraft.web.fc2.com/cradle_poster/cradle_poster01.html
ブログ:http://blog.goo.ne.jp/fruitsjam