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【百余亭お抹茶講座】 お抹茶との美味しいお付き合い<第5回>  掛軸(掛物)の楽しみ方

更新: / 公開: 2012年12月23日 ( ※ 古い情報です ) / 文責:

茶事や茶会のとき、亭主は季節やお招きするお客様に合わせて道具類を選びます。中でも、その日の主題を表現する最も重要なアイテムが掛軸(掛物)です。
席についたお客様は、掛物を拝見し、その言葉の意味や精神性を通して、亭主の心を感じとります。

今回は数ある掛軸の言葉の中でも最もよく用いられる「一行物(いちぎょうもの)」という、禅語(臨済宗、曹洞宗などの禅宗独特の言葉)を一行に書いたものをいくつか紹介します。

掛け軸

【日々是好日(にちにちこれこうじつ)】
中国の唐代末の 雲門文堰(ぶんえん)禅師が言った言葉。「毎日毎日が最良の日である」という意味。雨の日も辛い日も、また悲しい日も、それを「良き日」と受け取っていくということです。長い人生、毎日、良いことばかりあるはずはないので、悪い日も良き日も「受け取れる心」、さらに、悪い日を良き日と「転ずる心」が肝要だということでしょう。

【洗心(せんしん)】
「聖人は此を以って心を洗う」という古語があります。手足などの身体だけでなく、同時に「心」も洗い浄めることが肝心であろうという意味。手足の汚れは目についても、心の汚れには気が付きにくいもの。自省の座右の語としても、重く奥深いものです。

【桃花笑春風(とうかしゅんぷうにえむ)】
春風が心地よく吹く中で、今年も変わらず桃の花や桜の花を眺めることができる喜びを表したもの。生きていることへの感謝の念が湧いてきます。毎年、変わらずに咲く花のように、仏の教えも変わることなく同じことを説いているという禅語です。

【喫茶去(きっさこ)】
中国の趙州(じょうしゅう)禅師の言葉。どんな場合でも、来ていただいた方に“お茶でもいかがですか”と心のこもった一服を差し出すことができる、そんな思いやりのある、おおらかな心構えが何事においても大切であるという意味です。

【楓葉経霜紅(ふうようしもをへてくれないなり)】
楓の葉が晩秋に霜を経て美しく紅葉するように、人間もまた様々な苦労を経験し、それをしのぐことによって、初めて人として成長できるという意味です。