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あるが歯科クリニック・開業25周年記念 〈有賀正治理事長インタビュー〉 「予防歯科」に「インプラント治療」、25年目は通過点です!

更新: / 公開: 2022年10月9日 / 文責:

長野県宮田村にある、あるが歯科クリニックは、2022年10月9日に開業25周年を迎えられました。これを記念して、理事長の有賀正治先生にお話をうかがいました。

——この度は、開業25周年おめでとうございます。
ありがとうございます。
——開業は1997年ということになりますが、先生は何歳のときでしたか?
29歳ですね。大学卒業後、4年間、神奈川県の医院で勤務医をしていました。生まれは伊那市ですが、近くの宮田村に土地を見つけて開業しました。
——開業時の思いは?
国家資格である歯科医師免許を取得した身としては、地域のため、社会のために、歯科医師として、将来をまっとうしていけるよう頑張っていこうと思いましたね。ユニット(患者さん用のイス)3台からのスタートでした。

■「口腔予防」によって全身の健康を保つ
——25年の間には転機となる出来事などもあったのではないですか?
そうですね。大きな転機は2つ、ありました。
まず1つ目は、これからは予防が重要だと考えるようになったことです。私たちの法人名にある「Smile & Wellness」のWellness(ウェルネス)は、「自分から欲する健康」という意味なんですけど、健康を欲するために、今の口の中だけでなく、継続的に常にトータルに口全体をサポートして、それが体全身の長期的な健康につながるということを目指すことにしたんです。
——お口の健康が身体全体の健康にもつながるということなんですね。
そうです。最近は、政府もそのことを認識したようで、全国民に毎年の歯科健診を受けてもらう「国民皆歯科健診」の導入に向けて検討する方針をまとめました。口の健康が、医療費の抑制につながることに気づいたんですね。
でも、実は、その取り組みで、全国的に一番進んでいるのは長野県なんですよ。信州大学の口腔外科の栗田教授が、県内の各基幹病院に口腔外科・歯科を設置したんです。すると、入院しているときに口腔ケアをすることが当たり前になって早く退院することができるようになったんです。

■あるがキッズデンタルパークと訪問治療
——具体的に医院では、どのような体制をとられたんですか?
2008年に増築をして、ユニットを5台に増やしました。当医院では、歯科医も歯科衛生士も担当制なんですが、担当の歯科衛生士さんが、1人の患者さんを予防のためにしっかりと診ていくためには、1人につき1台のユニットが必要になるからです。そうすることで、責任を持って、担当の患者さんのお口の中を一生涯、守ることができるようになりました。
——充実の体制ができた訳ですね。
さらに、予防の観点で大切なのは子どもたちで、生涯、口の中の健康を保つには、小さい頃からの口腔予防ケアが大事だと認識しました。そこで、2018年、小児歯科クリニック「あるがキッズデンタルパーク」を開院しました。
そして、同じように大切なのが、高齢者ですね。外来に来ていた方が、高齢によって外来に来れなくなったら、普通なら歯科治療は終わりです。今は、昔のように入れ歯ではなく、歯があるまま80歳90歳を迎えるので、治療を続けなければ、歯はボロボロになってしまいます。だから、より長生きするためには、少しでも口腔内を整えてケアしていく必要があるんです。このため、あるが歯科クリニックでは、2017年、訪問診療をより充実させました。
——「あるがキッズデンタルパーク」には保育園が併設されているとお聞きしましたが……
そうです。人口減少によって、雇用の確保も難しくなってきましたが、働いているスタッフの労働環境を向上させようと、労働現場の近くで子どもさんを預けられるようにと保育園を作ってしまいました。スタッフのほか、それ以外のお子さんも預かったり、歯科治療の時間内の一時預かりもしています。

■革命が起きたインプラント治療
——先ほど、大きな転機が2つあったとおっしゃっていましたが……
そうですね。これも2008年なんですが、もう1つの転機は、インプラント治療※を始めたことです。私の先生である林揚春先生が、「歯を抜くと同時にインプラントを入れる」ことを提唱したことを日本歯科新聞の記事で知り、すぐに福岡で行われていたシンポジウムに出席し、「これからの歯科医療はこれしかない」と、私の中で革命が起きたんです。痛みや腫れが少なく、治療期間が短く、より安全に行えるインプラント治療を、当医院でも取り入れました。
現在、「より患者に寄り添った治療を行う」ことが、今後の歯科治療への課題だと考えて、より安全でより低侵襲なインプラント治療を推進する「即時荷重研究会」の会長をしています。
※ インプラント治療:歯が抜けてしまった顎骨(あごの骨)に金属のインプラント体を埋め込み、その上に人工の歯あるいは義歯を取り付ける歯科治療のこと。インプラント体は一般的にはチタンという金属が使用される。(参考:メディカルノート)

■上顎の発育不全を治す「顎顔面矯正」
——25年たって、最近の患者さんで、気になることってありますか?
例えば最近、増えている症例として、お子さんの上顎の発育不全により、歯が前後二重に生えたりなど歯並びが悪くなっていることがあります。つまり、顎が成長せずに小さいので、すべての歯が生える場所がなく、ぎゅうぎゅう詰めの状態でズレて生えてきてしまうんです。すると、口が開きっぱなしになって口呼吸になり、鼻呼吸ができないんですね。結果、そのまま成長しちゃうと、将来「睡眠時無呼吸症候群」になり、それが、交通事故などを引き起こす要因になってしまいます。鼻の調子が良くないと、普通は耳鼻科を受診しますが、その原因は口の中にあるということなんです。
そこで、当医院では、「顎顔面矯正」という療法を取り入れています。口の周りの顎の骨も診ながら、口を広げ顔全体の形態を改善し、鼻で呼吸できる状態にします。口が狭いと粘膜が腫れちゃうんですが、広げると、腫れが治まり、顔全体の形も整います。
——最近になって増えている原因はあるんですか?
それは、ここ何十年かの軟食化、つまり、食べ物が柔らかくなってきたことによります。顎が鍛えられないので、大きくなれないんです。

■マイクロスコープの導入
——そんな最近の症例の変化に対して、技術的にな進歩もあるんですか?
当医院では、全部の(小児は覗く)ユニットにマイクロスコープ(デジタルカメラを搭載した顕微鏡)が付いています。歯の中って見えないですから、見える機器があれば、どんどん使っていきたいと言うことで導入しています。高度な医療を患者さんも望むようになってきていますし、今の若い世代ではマイクロスコープは当たり前になっています。

■25年目は通過点
——お話を聞けば、この25間年は、あっという間ではなかったですか?
そうですね。全然25年とは思っていないですし、25年目は通過点に過ぎない気がします。これからも、もっと変化はあるだろうと思いますから、そこにアプローチし続けることにはなると思いますね。大学卒業後に勉強をする歯科医師は2〜3割と聞いていますが、今の若い世代は、情報も入りやすくなっているので、どんどんアップデートしています。私たちの世代も負けてはいられませんね。
——ますます忙しくなっちゃいますね。プライベートはあるんですか?
趣味が歯科医師というところでしょうか。ウィークデーは治療、週末は学会や講演会ですので、時間がありません。人として、自分に与えられた使命をまっとうしたいと思っているだけですね。

■歯を守る重要性
——最後に、読者の方にお伝えしたいことはありますか?
健康に関心のある方も増え、口腔予防の意識も高まってきているとは思いますが、まだまだ、歯科の重要性の認識が低い部分もあると思います。熱があったりすれば、会社を休んでも内科医などに行ったりしますが、歯医者に行くのは仕事の後、学校の後という人が多いです。最初に申し上げた通り、口の健康が身体の健康にもつながっているので、歯を後回しにせず、仕事を休んででも、学校を休んででも、歯科医に行って、口の健康を守ってほしいですね。
——本日は、ありがとうございました。あるが歯科クリニック

あるが歯科クリニック
  • 【所在地】
    • 長野県上伊那郡宮田村7556-25
  • 【連絡先】
    • TEL.0265-84-1131
  • 【ホームページ】