【上田映劇情報】早すぎた傑作が20年の時を超えて生きる希望を伝える手塚眞監督代表作『白痴』のデジタルリマスター版上映！ 初日に舞台挨拶 @上田映劇トラゥム・ライゼ 1/31〜2/12

上田市の映画館である上田映劇トラゥム・ライゼ（旧でんき館）で、手塚眞監督の1999年の作品『白痴』（主演：浅野忠信）のデジタルリマスター版が、1月31日〜上映されます。（同時上映・同監督2019年作品『ばるぼら』）
◎上映初日に手塚監督と照明の安河内央之さんの舞台挨拶があります。(予約優先)

手塚眞監督といえば、お父さんは、いわずもがなの漫画界の巨匠・手塚治虫氏です。高校時代から映画制作を始め、日本大学映画学科に進学、その後、ヴィジュアリストとして長編映画からドラマ、アートフィルム、イベント制作などをされました。大林宣彦監督の『ねらわれた学園』（1981年）には、俳優として出演し、個性的な演技で異彩を放ちました。
1999年、10年をかけた大作長編映画である本作を制作。2020年には、手塚治虫原作の劇映画『ばるぼら』（稲垣吾郎、二階堂ふみ主演）を監督、公開しました。
2020年4月に亡くなった大林監督からの遺言で、「映画をつないで平和な世の中に」と託された映画監督の一人となりました（ほかに岩井俊二監督・犬童一心監督・塚本晋也監督）。

現在、映画館はデジタル化が進み、フィルム上映ができる映画館は極端に少なくなっていて、上田映劇もデジタル上映です。手塚監督は、今後も『白痴』を映画館で観ていただきという思いから、クラウドファンディングを活用して、ご自身の手でデジタル化を実現しました。

◆『白痴』［1999年／日本／カラー／147分］
原作は、昭和の戦前・戦後にかけて活躍した小説家・坂口安吾の同名小説。「人間は生き、人間は堕ちる」という随筆『堕落論』に続いて発表されて衝撃を与えた短編小説で、太平洋戦争末期を舞台に、混沌かつ観念的な世界観が描かれています。
手塚監督は、「映画化不可能」と言われたこの作品に果敢に挑戦しました。原作を自由に解釈し、時代設定を限定せず、過去とも未来とも思える終末戦争下の日本としています。

テレビ局のADとして働く伊沢は、わがままなアイドルと粗暴なディレクター相手に幻滅の毎日を送っていたが、ある日、伊沢の部屋の押し入れに潜んでいた隣家の知的障害のある人妻をかくまう秘密の生活が始まった。戦況は悪化、激しい爆撃で炎燃え盛る街に二人は飛び込んでいく。極限の状況で、恐怖の果てに彼らが見たものは…。

ヴィジュアリスト手塚監督の演出による圧倒的に映像が美しいアート・シネマでもあります。

出演：浅野忠信、甲田益也子、橋本麗香、草刈正雄、藤村俊二、江波杏子、松岡俊介、あんじ、岡田眞澄、小野みゆき、荒井紀人、川村かおり、筒井康隆、原田芳雄
脚本・監督・編集：手塚眞／撮影：藤沢順一／照明：安河内央之／美術：磯見俊裕／音楽：橋本一子／プロデューサー：古澤敏文／製作総指揮：松谷孝征
配給：ネオンテトラ／(Ｃ)手塚プロダクション
映倫区分：PG12

《上映に先立って、去る1月12日に上田映劇にて、手塚監督の囲み取材がありました。》
■制作した当時に伝えたかったことは……
手塚監督：直接のテーマは「極限の状況の中で、人間は、どう生きる希望を見出していくか、どう生きていくか」でした。ただ、20年前の日本は、今と比べると、少し平和で落ち着いた時代だったのかな。非常にシリアスに描いていたこともあってか、当時は、ちょっとお客様に伝わりにくかったかも知れません。
■そんな公開から20年がたちましたが……
手塚監督：当時、「今が平和であっても、何かあれば一瞬で、戦火や災害に巻き込まれて皆が命の危険にさらされる」と発信していたんですが、事実その後、9.11テロ、リーマンショック、3.11東日本大震災が起き、どんどん不安感が増していきました。そして、昨年からは新型コロナ感染症が拡大し、ますます生きづらく、不安を抱える生活を強いられていますね。
■そんな中でデジタル版の公開となりました
手塚監督：そうですね。新しい時代を迎えた今だからこそ、当時の思いを、よりストレートに、より身近なものとして受け止めていただけるかもしれませんね。
※この間、手塚監督を励まし続けてくれたのが、大林宣彦だったそうで、監督から届いた14枚にわたる直筆の手紙を今も大事にしているそうです。
■極彩色の映像美が、やはり印象的ですが……
当時、世界でも最先端のコンピュータ技術を駆使し、発表時には世界からも称賛の声もいただきました。で、実は、その作業をしたのが「上田情報マルチメディアセンター」だったんですよ。1週間ほどこもって作業し続けたことを覚えています。
※初公開時には、「ヴェネチア国際映画祭」にてデジタル・アワードを受賞したほか、「カメリマージュ国際映画祭」でシルバーフロッグ賞、「レイクアローヘッド映画祭」でベスト・フィーチャーフィルム賞など各国の映画祭で絶賛されました。

◎その美学と音楽は同時上映される手塚眞監督最新作『ばるぼら』につながります → コチラ

【『白痴』手塚眞監督＆照明・安河内央之さん舞台挨拶＆トーク付の上映会】
［日程］2021年1月31日(日)
［時間］映画上映：15:50〜18:16／上映後トーク：18:20頃〜（約45分）
［会場］トラゥム・ライゼ（旧でんき館）※長野県上田市中央1-6-13
［登壇者］手塚眞監督、照明・安河内央之さん
［料金］→ コチラ
［座席数］限定72席（予約優先）
［予約受付期間］〜1月29日(金) 19:00まで
◎予約受付先
［Eメール］email hidden; JavaScript is required　＊名前・電話番号を人数分すべてを明記。

詳しくは → コチラ

映画『白痴』上映

• 【日程】
  • 2021年1月31日(日)〜2月12日(金) ※2月4日・8日は休館日
• 【上映時間】
  • 1月31日：15:50〜18:16
  • 2月1日〜3日・5日(水) ：15:10〜17:07
  • ※以降の時間については上田映劇のホームページでご確認ください。
• 【料金】
  • → コチラ
• 【会場】
  • 上田映劇トラゥム・ライゼ（旧でんき館）※長野県上田市中央1-6-13
• 【問い合わせ】
  • TEL.0268-22-0269