【リラクオーレ通信】東京近郊で活躍した歴史ある車両111・113系が信州に!
このたび、上田市の夢ハウスさんにやってきた新しい電車クハ111-1072(横須賀色=通称“スカ色”)&クハ111-2152(湘南色)を紹介します。
■ 111系・113系電車
111系の電車とは、それまで現在の特急のように片側2ドアで客席とドアがはっきり分かれているタイプから、3ドアでデッキのない構造にして乗車人数を増やし、輸送力をアップしたもので、1962(昭和37)年から導入されています。ただし、山手線のようなロングシートではなく、遠距離にも対応できるように向かい合わせのクロスシートも用意してあるため“近郊型”と呼ばれています。
その後、111系をさらに出力強化したタイプが113系で、1963年から1982年にかけて2,900両ほど製造された歴史ある車両です。
当初111・113系は東京駅から静岡方面の東海道本線で使用され、それまでの車両でも使われていたオレンジと緑のツートンカラーが踏襲され、「湘南色」と呼ばれて親しまれました。
その後、湘南色は全国の急行などにも使用され、国鉄・JRの顔としてのカラーとなりました。
ちなみに、現在、しなの鉄道で走っている169系湘南色の電車は、国鉄時代に信越線の急行「信州」「志賀」などとして活躍した、こちらも鉄道記念物的な車両です。また、普通列車に運用されている115系は、113系が暖地・平坦地向けなのに対して、山間部の寒冷地・急勾配路線用に設計されたものです。
■ クハ111-2152(湘南色)
クハ111は、前述の111・113系の先頭車両として長きに渡り活躍しました。
今回、夢ハウスさんにやってきたクハ111-2152は、昭和37年頃製造の車両で、ずっと東海道線で活躍してきましたが、2006(平成18)年に、千葉県の幕張車両センターにやってきて、総武本線はじめ、内房線、外房線などを走っていました。
最初は、同センターの他の車両と同じ青とクリームの、いわゆるスカ色になったのですが、2009年に、元の湘南色に塗り替えられました。
そして、今年の7月2・3日に、「急行伊豆号」として古巣の東海道を走り抜けたのを最後に引退となりました。
数奇な運命をたどった車両だけに、保存を喜ぶファンも多いとか。
■ クハ111-1072(横須賀色=通称“スカ色”)
東京駅と神奈川県の久里浜駅を結ぶのが通称“横須賀線”。そこを走る車両に使われた青とクリームのツートンカラーが、横須賀色、いわゆるスカ色と呼ばれています。
横須賀線に投入された113系もこのスカ色に塗装され、横須賀線の代名詞ともなりました。その後、千葉県内や中央東線の近郊型車両のにも使われるようになり、千葉県内の113系もスカ色が一般的でした。
クハ111の1000番代は、1972年に横須賀線・総武快速線の地下区間(錦糸町 – 品川間、開業)直通を目的に地下区間乗入対応車両として製造されたのですが、すぐに別の新車両が、その任に当たることになったため、そこには投入されず、専ら房総地区(総武本線・成田線・鹿島線・外房線・東金線・内房線)のローカル列車として、長い間、活躍してきました。
クハ111-1072もそのうちの1両で、8月末の引退をもって、長年、慣れ親しんできた千葉の地を離れ、遠く信州の地にまでやってきて、夢ハウスさんで余生を送ることになったのです。
(以上、某大学鉄道研究会OBである筆者が、すっかり忘れた昔の知識は役立たず、ネットの情報を頼りに書きました。鉄道ファンの皆様、誤情報等がございましたらご指摘ください)