【上田映劇情報】孤独に生きる女と人生を諦めた男、幻想と現実が交錯する愛の物語『心と体と』上映中! 二人を結びつけたのは「鹿の夢」!? 〜7/27
公開:
( ※ 古い情報です )
/ 文責:
篠原暢夫
「夢の中、駆けめぐる」。長編デビュー作『私の20世紀』でカンヌ国際映画祭カメラドール(最優秀新人監督賞)を受賞したハンガリーの鬼才イルディコ・エンエディが18年ぶりにメガホンをとった長編映画。舞台はハンガリーもブダペスト。孤独に生きる女と人生を諦めた男。二人を結びつけたのは「鹿の夢」。幻想と現実が交錯する愛の物語。
*2017年 第67回ベルリン国際映画祭 最高賞〈金熊賞〉をはじめ、4部門受賞
*2017年 第90回アカデミー賞外国語映画賞ノミネート
監督・脚本: イルディコー・エニェディ
出演: アレクサンドラ・ボルベーイ、ゲーザ・モルチャーニ、レーカ・テンキ、エルヴィン・ナジ
ブダペスト郊外の食肉処理場で代理職員として働く若い女性マーリアは、コミュニケーションが苦手で職場になじめずにいた。片手が不自由な上司の中年男性エンドレはマーリアのことを何かと気にかけていたが、うまく噛み合わない。そんな不器用な2人が、偶然にも同じ夢を見たことから急接近していく……。
《情報誌『上田映劇ジャーナル』より》
「ちょっと気になる人と毎晩同じ夢を見るなんて、そんな甘い歌みたいなことあるかしら。それも森の中で、鹿になって、だなんて。
『心と体と』はそんな甘い夢を共有する2人の男女が主人公。2人が出会う場所は職場である牛の食肉処理場で、数えきれない量の生きることのおしまい、が不自然な形でここにはある。甘い夢と、いびつに淡々とした現実の繰り返しを美しい映像で描く。ある日、牛の交尾薬が盗まれるという事件をきっかけに、全従業員が精神科医のカウンセリングを受けることになる。そこで2人は全く同一の夢を見ていることが明らかになるのだが、盗まれたものが牛の交尾薬であるということに思わず笑ってしまう。でも盗んだひとはなかなか思い悩んでいたりするのだ。生きることに真剣であればあるほどそれを映像や文章で切り抜けば『おかしみ』になる。この映画はそういう生きることのユーモアを的確な分量で世界から切り取っていて、メス鹿の夢を見る主人公『マーリア』の行動の描き方が特に繊細ですばらしい。オス鹿の夢を見る「エンドレ」との明日の会話をシュミレーションするために、しまってあった箱からわざわざレゴを取り出して会話をさせる。再生したCDがあまりにも自分の心象そのものの色だったから思わず停止ボタンを押す。ああ、なんか、するよなあそういうこと。あるよねえそういうこと。誰にも言わないけど。そういうむずがゆいことを『マーリア』も『エンドレ』もする。
この映画を通して伝えたいことはなんですか? と聞かれた監督の答えがすばらしかった。「私が伝えたかったのは『人生は人生だ』ということです。人生は白か黒かとか、悪と善とか、はっきり分けられるものではありません。一番辛い時でも美しい瞬間はあって、それが生きるということ」これ以上に、この映画を言い当てている言葉はないと思う。」(池上幸恵さん)
「時々、あの記憶は映画だったのか、夢だったのか、現実だったのかが分からなくなる時がある。記憶というのはとても曖昧だ。自分の良いように解釈されていく。でも同時に、現実もとても儚い。一瞬にして今は過ぎ去り、過去になっていく。だから時というのも、そんなに確かなのではないのかもしれない。何が言いたいのかというと、自分の中で確かだと思うものは、映画の中でも現実でも、過去の記憶でも、夢の中でも、どこでも確かめることができるのではないかということ。優秀な頭脳があることよりもっと大切なことは、心と体で感じること。きっとそれさえあれば、私たちは十分に幸せになり得るのだと、この映画は体感させてくれる。」(今月の表紙の言葉)
詳しくは公式ホームページ → コチラ
『心と体と』上映
- 【日程】
- 2018年7月14日(土)〜27日(金) ※7月22日は休映、23日は休館
- 【時間】
- 2018年7月21日 14:45〜16:41/24〜27日 17:00〜18:56
- 【料金】
- 一般1,800円/大学生1,500円/小〜高校生1,000円/シニア(60歳以上)1,100円/幼児(3歳以上)900円/レディーズデー(毎週水曜)1,100円/メンズデー(毎週木曜)1,200円/リピーター割引(1,800円か1,500円の半券持参)/夫婦50割(どちらか一名が50歳以上)/ファーストデー(毎月1日)1,100円/障がい者割引(手帳提示)1,000円)
- 【会場】
- 上田映劇(長野県上田市中央2-12-30)
- 【上田映劇Facebook】
- → コチラ
- 【問い合わせ】
- TEL.0268-22-0269