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着物に魅せられて

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えみぃです。こんにちは。
だいぶ暖かくなり、庭には水仙やムスカリ、ヒヤシンスなどが小さい花を咲かせています。
猫たちも外で遊ぶ時間が長くなってきました。良い季節ですね。

さて、着心地の良さから着物生活を始めたわけですが、だんだん色柄や布地の風合いなどファッション的な要素も気になってきて、インターネットやリサイクルショップでリーズナブルな着物をどんどん買うようになりました。
また、行く先々で「着ない着物があるから持って行って」といただくようになり、今では400枚ほどの着物が集まったでしょうか。

着物生活を始めるまで、「縮緬」「紬」程度しか知りませんでしたが、「お召」「綸子」「上布」「ちぢみ」「ウール」「木綿」など、たくさんの種類の素材があることを知りました。
庶民が洋服を着るようになる昭和初期以前は、一年中着物で過ごしていたわけですから、春夏秋冬を快適に過ごすためにさまざまな素材があったわけです。

wata2たとえば夏には麻で織った「上布」や「ちぢみ」などを着ます。麻でできた長襦袢と重ねて着ると、風が着物の中を吹き抜けてなんとも言えないさわやかさです。そして、見た目にも涼しい。
(写真はお花模様の小地谷ちぢみです)

絹や綿で作られた透かし織りの「絽」や「紗」などもありますが、盛夏には麻が一番です。
ちなみに、夏の着物としてみなさんがまっさきに思い浮かべられるでしょう「浴衣」は、あまり涼しくないです。
wata冬には「ウール」や「手織り紬」など、温かい素材や目の詰まった織りの着物を着ます。「綿入り」と言う、全体に綿が入ったものもあります。
写真は真綿入りの泥大島です。リサイクル屋さんでこの着物を見つけたときは、小躍りしましたよ。
ふわっとやわらかく体を包み込んで暖かい。こんな感覚は、洋服にはありませんでした。
ウールの下着やネルの腰巻など、下着も暖かいものを着ます。
そうすることで、洋服の頃よりずっと暖かく過ごしている気がします。

着物の柄を作る手法もさまざま。
白生地を織ってから染める「友禅」や「型染め」、布を縛って染め分ける「絞り」、斑に染めた糸(絣糸)で模様を織り出す「絣(かすり)」、「汕頭(すわとう)」「相良(さがら)」「蘇州(そしゅう)」という刺繍などもあります。

yuuki「絣」で柄を出す有名なものとして「紬」があります。高価な紬として有名な重要無形文化財の結城紬は、絣くくりという方法で絣糸を作ります。
糸を枠に巻きつけて図案に従って竹べらで墨をつけ、墨をつけた部分を綿の糸でくくって染めます。綿でくくった部分は色が入らず、この無染色の部分を組み合わせて模様を作るのです。
写真は亀甲と呼ばれる代表的な図案です。こちらは反物の幅の中に100個の亀甲柄が表現された「100亀甲」というもの。絣糸を作るのも織るのも、大変な手間がかかるそうです。

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こちらの写真は「型染め」の着物です。「渋紙」と呼ばれる和紙で版画のような型を作り、反物の上に型を置いて糊をつけます。糊がついていないところを顔料で染め、最後に糊を取ることにより、輪郭がくっきりと浮かび上がる手法です。
と簡単に書きましたが、間にたくさんの工程が必要で、大変手間のかかるものだそうです。
現代では直接布にプリントする技術があり、このような手間をかけなくても希望の図柄を表現できるわけですが、型染めには手間をかけただけの重みというか風合いがあるように感じます。

この他にも、柄の付け方によって「留袖」「訪問着」「振袖」「小紋」「色無地」などの種類があり、TPOに沿って着るということ。また、季節にあった色や柄を選ぶなど、着物の世界は奥が深くずぶずぶずぶーっと底なし沼にはまるようにその魅力にはまってしまいました。
本当に楽しいです!着物生活。

これからも、着たことのないものを探して、どんどん着ます~。

 


コラムニストのプロフィール :

循環する生活をめざし、オット&5匹の猫と小諸の泉のほとりに暮らす農婦です。数年前、突然思い立って洋服を全て処分し、着物で生活を始めました。今では家事はもちろん野良仕事も着物です。 たくさん集まった着物を解いて自分用に下着を作ったのがきっかけで、洋服や小物のリメイクの店を始めました。店では自給用に作った漬物や味噌、おもちなどをふるまっています。ぜひ遊びに来てください。

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