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手作り工房ふくろうの森:カラフルな針刺しやアクリルたわしなどの雑貨で毎日を楽しく、土に還る自然素材とリメイクで環境に優しい作品は、ナチュラルであたたかい(長野県御代田町)

更新: / 公開: 2013年12月20日 ( ※ 古い情報です ) / 文責:

御代田町の山裾に、立派な丸太で作られたログハウスがあります。ハンドメイド作家・小林貴子さんの自宅兼工房で、夜には、ふくろうの鳴き声が聞こえてくるそうです。

仕事場には、マルシェなどのイベント出店で、よく目にするカラフルな針刺しが並んでいました。羊毛で作られているので針が錆びにくいのだとか。他にも、手編みのアクリルたわしや麻ひものカゴ、座布団、デジカメケース、コースター、ヘアアクセサリーなど、毎日の生活に活躍しそうな小物類があります。

「特別なものではなく、いつも生活のかたわらに、さりげなく存在している作品を作りたいんです。お気に入りのものが、いつもそばにあれば、毎日が楽しくなりますよね」

と小林さん。確かに、色鮮やかで可愛らしい雑貨は、見ているだけでもウキウキしてきます。

それらの小物の他、セーターなどの衣類や帽子、バッグ等々の手編みの作品が多数あるのですが、こだわっているのは、その素材。ウールや綿、麻、木など、基本的に土に還る自然素材の他、ガラスや天然石、金属など、石油由来ではない素材を選ぶようにしているのだそう。例えば、針刺しなどに使う接着剤には環境に負担をかけない木工用のボンドを使用し、草木染めの媒染液には手作りした物を利用するなどです。また、直接肌に触れるマフラーやネックウォーマーは、チクチクしないメリノウールが使われていて、暖かく優しく包んでくれます。自然を生かすって大変なのではと、小林さんに聞いてみると、

「いえいえ、そんなことないですよ。自然を取り入れるということは、自分で創り出すことを楽しむことだと思います」

との答え。なるほどです。ご自宅にある畑も、肥料などを外から持ち込まず、その大地にもともとあるものだけで作る自然栽培なのだとか。

そして、もう一つ小林さんが心がけているのがリメイク。今あるものを無駄にしたくないということで、使わなくなった衣類等をほどいて毛糸にし、新しい作品を作って蘇らせています。結果、環境保全に役立つというわけです。

そんな小林さんの作品は、ナチュラルで優しい色合いが大人の上品さを演出しながら、どこか可愛らしさと明るさがあって、人をひきつけます。お子さんのバッグを注文された方が、実際に手にしたら自分も欲しくなり、親子お揃いにしてしまったというエピソードも。そのとき小林さんは、全く同じではなく、お母さんのバッグは、お揃いに見えながらも、ちょっと大人っぽいデザインにしたのだとか。そんなセンスが小林さんの魅力なのかもしれません。

そして小林さん自身も、小学生の娘さんのお母さんです。何気なく置かれていた娘さんの麻のバッグの中には、フェルトで作られた可愛らしい食べ物のおもちゃやアクリル毛糸の動物などの作品が入っていて、娘さんを思うお母さんの気持ちが伝わってきました。そんな優しさを込めて制作されたシュシュや子ども服は、誕生祝いなどの素敵な贈り物にもなると思います。

さて、実は小林さん、手作り品制作のほかに、大工である旦那さんの仕事を手伝ったり、パスタ屋さんの厨房で働いたり、小学生の娘さんの面倒を見たり、それはそれは忙しく動き回っている超パワフル・ウーマンなんです。そうそう、今おじゃましているログハウスも、ある会社の保養所だった建物を改修リノベーションしたとのこと。これまでの人生も、フランス料理とパティシエを経験し、会計事務所で経理を覚え、わからないことは本で徹底的に調べてやってみるという、まさにパワフル。数字が好きで趣味はナンクロという小林さんは、苦手な人が多いという編み図も得意で、必ず自分のデザインは編み図に残しているそうです。

小林さんは「手作り工房ふくろうの森」として、四季折々のイベントに出店しているほか、ネットショップも開設していますので、ぜひ、のぞいてみてくださいね。ユニークなところでは、木工の技術を生かした鍋敷きや円卓、踏み台などもあるんですよ。
お店からのヒトコト

子供の頃、NHKの『大草原の小さな家』というドラマの「毎日の生活を維持するために、皆が全力を注いでいる」っていう感じに憧れたんです。今は、少しでもそこに近づきたいと思っていて、今あるもの、今できる事を、精一杯楽しんで頑張っています。

とにかく手仕事大好き、手作り大好きなんです。これまでもいろいろな経験をしてきましたが、無駄になったものはひとつもなくて、すべてが今に繋がっていて、それらの経験とこれからへの夢が、私の生きるパワーになっています。1日が終わるとぐったりしますが、クウーーッと寝てたくさん食べて、とても充実していますよ。

今後ですが、手編みだけでなく機械編みにも挑戦してみたいとか、優しい木のカトラリーを作ってみたいとか、膨らむ夢を少しずつでも実現していきたいと思っています。皆さん、よろしくお願いいたします。

小林貴子

オンラインショップ http://www.shop-online.jp/fukurounomori/