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【リラクオーレ通信】環境講演会「自然エネルギーの動向と地域での取り組み」に行ってきました!

更新: / 公開: 2011年2月28日 ( ※ 古い情報です ) / 文責:

2011/2/25(金)にうえだ環境市民会議が主催した、飯田哲也さんの講演会を聞いて来ました。これからのエネルギーを考える上で皆さんにも参考になると思いますので、その内容の主旨をお伝えします。

昨年2010年は、世界各地で沢山の異常気象が観測されました。日本では寒い冬となりましたが、世界の年間平均気温は観測史上最高 (ここ最近、当たり前のように出てくるこのフレーズにももう慣れてきてしまったのが恐ろしいですが…)
だったそうです。

この温暖化現象が人類の活動によるものであるということをこれまで以上に裏付ける新たなレポートも先日発表されていましたね。その主な原因となる化石燃料に費やしている日本の輸入コストは年々増え続けており、2008年はなんと23.1兆円でGDPのうち4.6%にも上るそうです!おそらく昨年はもっと高かったのではないでしょうか。

現代の私たちの暮らしは、ありとあらゆる活動を石油エネルギーに依存しているわけですが、その石油の年間総産出量は2006年がピークだったという報告が昨年11月にIEAから出されました。今後は産出量が少なくなるだけではなく、採取・精製するのにも今まで以上にコストがかかってくるので、もう、「 "石油を使いたいだけ使える時代"、"石油依存型の時代" は終わる。」と考えるべきなのでしょう。日本は石油の全てを輸入に頼っていますので、このままでは経済的な負担は今後ますます増えていくということになります。

そして、温暖化対策においては、もはや一刻の猶予もない状況ですが、日本ではエネルギー政策の遅れなどから、全くと言っていいほど良い成果を上げることが出来ていません。ここ数年は、国が温暖化対策として推進している原子力発電所のトラブルが相次ぎ、その埋め合わせとして、石炭による火力発電を行ったことが大きな要因だそうです。

しかし、そんな原子力発電所も次々と老朽化が進み、新たに建設するにも5〜10年という長い時間が必要となるため、廃炉のスピードを考慮すると、温暖化対策としては時間的にも間に合わないので現実的な選択肢ではありません。また、原子力発電にはそれ以前にたくさんの問題点があります。

ここで世界に目を向けてみると、原子力発電は今や「純減」の時代に入っており、それに代わって風力発電を筆頭に自然エネルギーが急速に伸びてきています。原子力発電はもはや様々な意味で不確実であり、世界中の銀行が融資を見合わせるような時代になりつつあります。

風力発電

そんな潮流の中でも、日本の自然エネルギー普及率は伸び悩んでいるわけですが、普及すればその発電コストはどんどん下がってきます。そして、ある研究結果によると、2010年は太陽光発電のコストが原子力発電のコストを逆転した年であるとの報告も出されました。欧州の環境先進各国では、予想以上に自然エネルギーが普及してきたため、この半年で「電力を100%自然エネルギーに転換して行こう」というシナリオが次々と出てきているそうです!今後、自然エネルギー産業は、多くの雇用も生み出す大きな産業に成長させる事ができるはずですので、日本もその方向に舵を切っていかなければなりなせん。

しかし、日本の電力市場は、世界でもとても稀な「独占市場」であることや、政策の遅れなどもあり、国からのトップダウンで自然エネルギーを推進するような構造を作り出すことは非常に困難な状況にあります。自然エネルギーは地域毎の特長を生かして推進すべき!という意味でも、地域が主体となって推進して行けば良いのではないでしょうか。その目標達成のためには、高い具体的な数値目標を設定し、事実をよく理解し、実践的な手法を学び、それらを統合しながら計画・実行していく事が大切です。

信州を例に取ると、飯田市の「おひさま進歩エネルギー」が良い例だと思います。また、上田ではエネルギーの地産地消を考える会である「六ケ所会議
in Ueda」も活発な活動をしています。

「変化」というものは周縁からしか起こりません。一人ひとりが、現実をよく理解し、問題意識を持って行動して行けば、未来は変えられるはずです。