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茶房パニ : 空間も、器も、メニューも、すべてが作品。山の懐に抱かれた森の中のカフェ (長野県上田市)

更新: / 公開: 2013年4月29日 ( ※ 古い情報です ) / 文責:
【予約にて営業再開】 6月6日(土)より再開しています。 未だコロナウイルスの影響があり三密を避けるため、来店人数を限定しています。来店の際には電話で予約をしてください。 ■詳しくはホームページの「お席のご予約について」を参照 → https://saboupani.exblog.jp/28015541/ 【おさんぽ弁当を開始】 テイクアウト用「おさんぽ弁当」を始めました。 値段は950円、前日お昼頃までの予約をお願いします。お弁当箱は何度かは使えます 「パニは野倉という小さな集落にありとてもきれいな里山です。パニでお弁当を受け取ったら地図を片手にのんびりお散歩はいかがですか? そしていい場所を見つけたらお弁当を広げてと。お店とはまたひと味ちがうはずです。」(スタッフ一同) ■詳しくはホームページの「food & drink」を参照 → https://saboupani.exblog.jp/i8/

 

信州上田の奥座敷、別所温泉からさらに奥へ。くねくねと山道をしばらく登って行くと、そこに野倉という小さな集落があります。
茶房パニ」と土器や陶器を制作する「工房土喜」を営む佐々木さんが、川崎からここ野倉へ移住してきたのは、もう30年も前のこと。そのイキサツはとても興味深いものなので、また後ほど詳しく書くとして…。

ここ茶房パニでお茶を飲むと、心がパッカーンと開くような感覚になるんです。味覚も敏感になっているのか、玄米おにぎり定食や、オープンサンドセットを食べても、それぞれの素材の味を、いつもよりしっかり感じ取れる気がします。鳥たちの鳴き声だけでなくて、木々のささやきまで聞こえてきそう…。

茶房パニのオープンは1998年。子供たちが大きくなり、自分の時間を持てるようになってきたタイミングで始めたのだそう。
「パニ」とは、ヒンズー語で「水」という意味。店先には「延命水」というありがたい名前の湧き水が湧いていて、この水をひと口飲むと寿命が3年延びるといわれているそうです。茶房パニの常連になれば長生きできそう…。
開店から15年ほどたった今、すっかり「パニ」として定着しているこのお店の名前ですが、実はオープンした時の店名は「点」という名前だったのだそうです。でも「なんか重たい名前だよね…」という話になり、オープン翌日からは現在の「茶房パニ」に。一日限りの幻のお店「点」に行ったことのある方はラッキーですよね!

さて、今日はそんな鳥たちのさえずりがとても耳に心地良い、山々を見渡せる工房土喜のテラスでお話を聞くことになりました。佐々木さんは素敵な器にお茶を注ぎながら話しはじめます。

「このお茶は熊笹なんですよ。熊笹はこの辺では、あっという間に増えちゃうんです。僕ね、熊笹とか、桑の葉とか、柿の葉とか、どくだみとか、色々ためしているんですよ。ブレンドとかしたりしてね。スギナでもなんでも、そういう生命力の強いものはカラダにもいいみたいですね」

頂いた熊笹茶はクセもなくとても飲みやすくて美味しく感じました。雄大な自然の中で飲む一杯のお茶は、やはり格別なのです。ここに漂う様々なエネルギーもお茶と一緒にカラダの中へ注ぎ込んでいるような、そんな命のチカラを頂きながら、お話は進みます。

価値観が足下から崩れていったインド・ネパールへの旅

佐々木さんは二十歳の頃、魅力を感じていたインドに旅に出ます。この頃は、ベトナム戦争への反戦運動に端を発した『ヒッピー文化』も終盤に差し掛かっていた頃。でも、佐々木さんはこの旅で出会うまで”ヒッピー”という存在を知らなかったのだそう。だからこそ、そこで出会った、世界中から集まってきていたヒッピー達との出会いが衝撃的なものになったのかもしれません。

そして、この旅の中で触れた、インドやネパールでの、自然に寄り添い、全てが循環しながら、互いに支えあい、共生している社会をみて、それまで日本の日常で体得してきた価値観がガラガラと足下から崩れ落ちて、「これが本当の人間の生き方なんだなぁ」と感じたのだそうです。

そんな旅の途中のある日、ネパールの山の中腹で朝日を浴びながら、タープの下でお茶を飲んでいた時に、その時間をとても心地よく感じたのだそうです。そして、その時の気持ちが、後に茶房パニを始める大きなキッカケとなるわけです。

自然体の日々の暮らしが「茶房パニ」の基礎

その後、佐々木さんはここ野倉に移り住み、養鶏をしたり、農作物を作ったり、焼き物を焼いたりしながら、循環する生活を始めます。

そんな日々の生活の中から作り方のノウハウを習得していった有機野菜や、天然酵母パン、子どもたちのための安全でおいしいケーキ、それらをのせるための器、過ごしやすい居住空間…。佐々木さんの手作りを大切にしてきた暮らし方がそのまま、現在の茶房パニと工房土喜につながっています。そんな自然体の生き方が、お店からも伝わってくるから、お客様の心もほどけて、とても心地よく時間が過ごせるのでしょうね。

ちなみに、工房土喜で焼かれた作品は茶房パニの庭先にも展示してあります。もちろん、パニで使われている器も作品ですよ。

この山奥で喫茶店を開くということ

茶房パニのある野倉という場所を初めて訪れる際には、不安を感じる方も少なくないのでは?と思ってしまいます。というのも「ほんとにこんな山奥に喫茶店があるの?」というくらい、山の中にあります。気にせずに山道を登ってくださいね。何しろ、茶房パニとして喫茶店をはじめるキッカケは先ほど書いた通り「ネパールのような山の中でお茶を飲むことの心地よさ」なのですから。

「お客様が来るとか、来ないとかは全然考えてなかったんです。ただやりたいな、という気持ちで何の計算もせずに始めました」

と佐々木さん。そして、実際にお店を開けてみたら、お客様は初日からちゃんと来てくれたのです。なんと開店以来、この山奥という立地にも関わらず、お客様が来なかった日は一日もないのだそう。

茶房パニには、他では感じることの出来ない、優しくゆったりとした空気感があります。少し窮屈な街の生活に疲れたり、忙しさで心が塞ぎこんでしまったりしたら、茶房パニの空気に身を委ねて、時間を忘れて、くつろいでみてはいかがでしょうか。

ランチは「玄米弁当」と「自家製パン オープンサンド」、季節のデザートも

茶房パニのランチは、「玄米弁当」「自家製パン オープンサンド」の2種類があります。おねだんは両方とも1,400円です。

玄米弁当は、酵素玄米、お味噌汁、煮物、おひたし、お豆、漬物などで、派手さはないですが、しみじみ美味しい地味弁当です。良く噛んでゆっくり食べてみてください。

オープンサンドは、自家製天然酵母パン、サラダ、生ハム、卵、チーズ、ひよこ豆などがワンプレートになったメニュー。長年ずっと変わらない美味しさです。

いずれも飲み物とのセット ( +400円 ) にできます。

それに、丁寧に手作りされた、季節ごとに変わるおいしいデザートもオススメ。秋には、お店を覆う様にたっている栗の木の栗を使ったモンブランもあります。
今のパニで食べられるメニューは、ページ右にあるツイッターやFacebook、または公式サイト pani.jp 、をご覧下さいね。

まずは、テラス席でランチを食べてみてください。目の前に広がる大自然から溢れだすエネルギーも一緒に食べているような気がして、とっても爽快な気分になりますよ!

そうそう、ランチは数に限りがありますので、お早めのご来店を。

お店からのヒトコト

自分達が “こんなお店があるといいな〜” と思うお店を目指しています。

パニに行くと何かに出会う。
おいしい物に、キレイな風景に、鳥たちの声に、人に、そして自分の心にも出会えたらいいな〜、と思っています。

店主・佐々木義之

webサイト http://pani.jp/
電話番号 0268-38-3830
住所 〒386-1437 長野県上田市野倉524-1
営業日 4月〜11月の 土、日、月、火曜日 と 祭日
( 12月〜3月 は冬眠します )
営業時間 11:00~16:30