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【リラクオーレ通信】スタジオMさんの現場拝見「住空間のトータルデザイン」

更新: / 公開: 2012年10月2日 ( ※ 古い情報です ) / 文責:

御代田町のオリジナル注文家具工房「スタジオM」さんが、キッチンや収納棚を始めとする室内をトータルに考慮しデザイン・制作した、川越ファミリーの新築のお宅におじゃまをして、スタジオMの代表・江澤昌英さんを交えて、家づくりのお話をうかがってきました。


スタイリッシュな外観

開放的な吹き抜け

川越さんご一家

アイランドキッチン

川越さんは、ご夫妻と6歳と3歳の2人の娘さんの4人家族。4年ほど前に群馬県から御代田町に引っ越してきました。新居は、この春に完成したということです。

広い駐車場兼庭に建つ総2階建ての家は、白を基調に黒を組み合わせたウッディ&スタイリッシュな外観。1階は28畳ほどの広いキッチン&リビングに7.5畳の部屋が一つ。アイランドキッチンを中心にしたスペースは、一部を2階との吹き抜けにしているため、とても開放的で、大きな窓からは心地よい陽の光が注ぎます。2階には寝室と子ども部屋にご主人の書斎スペースがあります。

今回、川越さんは、イベントで知ったスタジオMさんのキッチン&インテリアを家づくりに生かしたいと思い、それを引き受けてくれる工務店と出会うことによって実現されました。

リラクオーレ(以下リラ):
とても広いスペースですが、何か思い入れがあったんですか?
ご主人:
そうですね。リビングの中に階段を設けて、必ず子どもたちの「ただいま」の声を聞いて顔を合わせる、というのが一つのコンセプトでした。
奥様:
それと、私がアロマセラピーの講座を開いているので、やはり、広いスペースが欲しかったんです。また、主人のお母さんが玄米酵素の自然菜食料理の研究家なので、その教室も予定しています。
あと将来的になんですが、ここを赤ちゃんやお母さんが集える場所にして、ベビーマッサージなどを提供しながら子育て世代の応援ができればなんて考えているんです。
リラ:
子育て中は、いろいろと悩みや疑問があるでしょうから、お母さん仲間が集まって話ができる場所があったら、うれしいですよね。
■ 家づくりの出会い
リラ:
スタジオMさんと知り合ったきっかけは?
ご主人:
友人の家にMさんの机があったのを見たり、Mさんのイベントに行ったときに、素敵な家具がとっても気に入って、子ども用の机と椅子、それから小物とかを購入させていただいたんです。それが出会いですね。そのデザイン性に、まず惚れました。
奥様:
その後、家を新築しようとなったときに、一番、重要と考えていたキッチン周りを、ぜひMさんにお願いしたいと思ったんです。ただ、私って調べマニアみたいなところがあって、長野県中の建具屋さんを見て回ったり、見積もりを出してもらったりもしたんですよ。でも、予算や安全性などデザイン以外の条件を考慮しても、Mさん以外には考えられませんでしたね。
リラ:
では、家づくりを進める工務店はどのように?
奥様:
私たちの家づくりのもう一つのこだわりは、子供たちにとって安心安全な「自然&健康住宅」。とくに無垢と漆喰にしたかったんです。そして、半年捜し求めて出会えたのが東御市の木楽ホームさんでした。
ご主人:
私は、やはり、高気密高断熱なども気にしていたので、住宅性能とコストパフォーマンスを検討し、結果、家の方は木楽ホームさんにお願いしようと思いました。
リラ:
でも、キッチン周りはスタジオMさんに依頼したかったんですよね。
奥様:
そうなんです、たいがい工務店さんは、メーカーと提携をしているので、良い顔をされなかったり、断られてしまいますよね。
最初、木楽さんも、ちょっと戸惑っていらっしゃったんですが、どうしてもということでお願いをすると、納得をしていただいて、快く引き受けていただきました。木楽さんには、とても感謝しています。
キッチン&リビングのトータルデザイン


薄さが生きるデザイン

キッチン&リビングの
トータルデザイン

リラ:
そうしてMさんと木楽ホームさんでの家づくりが始まったわけですね。
奥様:
そうですね、まずは、念願だったキッチンをお願いしました。具体的には、「これくらいのサイズで、だいたいこういう配置がいいです」という大まかな希望をお伝えしたんですが、結果、私達の希望をもとにMさんの特徴でもある空間全体のデザインとコストを考慮した素晴らしいアイランドキッチンが実現しました。
スタジオM江澤(以下M江澤):
僕は部屋の全体的なイメージと、それに対してのディテールのデザインを提案させてもらったんですが、例えば、今回、天板を薄くしたんです。一般的に天板は厚めが好まれるのですが、全体で見たときに、薄さがデザインとして生きるようにしました。
奥様:
キッチンのデザインが決まると、やっぱり、そのデザインを生かしたくなって、キッチン周りの棚やリビングの収納の戸もお願いすることになり、さらに、カーテンまでもMさんが信頼しているインテリアコーディネーさんに選んでいただきました。結局、キッチン&リビングのトータルデザインコーディネートがMさんということになって統一感のある部屋になりました。
リラ:
そんな中でMさんの提案が奥様の思い違っていたことってありましたか?
奥様:
いえいえ、それが面白いんですが、だんだん話していくうちに江澤マジックにはまった(笑)というか、江澤さんが言うんだったら安心みたいになって、迷ったときは江澤さんにお任せしていました。迷っても、そこに正解があるというのが、心強かったですね。細かいところでも、キッチンのタオル掛けをどうするとか、棚の中に精米機用のコンセントを配置するとかの提案をしてくれました。
リラ:
お施主さんの要望に対して、予想以上のものを提案できるのがプロで、そこに信頼性が生まれますよね。
M江澤:
川越さんの場合は、基本的なことはご夫婦で相談されていて、レイアウトとかも具体的に先にお話があったのでスムーズに、かつ発展的に進めることができました。やはり、お施主様が基本的なイメージを描くことが大切ですね。僕は自分の作品を作っているつもりはなくて、お施主さんの思っているイメージを120%くらい膨らませることができたらいいな、と思っているんです。
理想の住空間のイメージを実現する


リビング収納の扉も江澤さん作

明るい部屋でのびのび育つ娘さんたち

ご主人:
実際に住んでみたら」ということをイメージして、間取りや外観、気密性とか考えたんですが、家族が集う部屋の雰囲気や住んでみての使い勝手といったところが、一番こだわって時間かかったところですね。
M江澤:
気密性とかの機能性は家づくりのベースの部分で、その上にある、自分たちが暮らす住空間こそが、オリジナリティや趣向が出てくるので、やっぱり、そこに、いちばん時間をかけたいですよね。
リラ:
実際に住む部屋のデザインや色彩、使い勝手といった住環境をどんなものにしたいかというところから家づくりを考えるのは、本当はごく自然なことなんでしょうね。でも、どうしても家づくりって、工法や構造、家の機能などといったハードな部分から入っていきがちで、そこに多くの時間をさいてしまうんです。
奥様:
だから、家づくりを考えたとき、まず最初に、Mさんのような家具&インテリアデザイナーみたいな方に相談してみるのも、自分の理想を実現する道かなとも思います。
リラ:
つまり、どこの工務店にするのかということから始めるのではなく。気に入ったデザイナーさんによる住空間を実現してくれる工務店を見つけるという逆の発想の家づくりがあってもいいってことですよね。
M江澤:
そうですね。ただ、そこから始めるには、お施主さん自身が、はっきりしたイメージを描いておかないと上手くいかないかもしれません。デザイナーに対して投げるボールがないと、デザイナーもボールの返しようがなくなります。でも、それをイメージすることって、自分たちのライフスタイルを改めて考えてみる、良いきっかけにもなると思いますよ。
奥様:
そうやって、なんだかんだ、いろいろとやり取りをしながら進めているときが、実は、とっても楽しかったんですね。家づくりという大きなプロセスに自分が参加することができた分、家に対する大きな愛着が生まれています。
リラ:
そんなお家で、ご家族の絆を深め、充実した毎日を送っていただきたいと思います。本日は、ありがとうございました。


オブジェのようなコート掛け

帰りがけの玄関で、ふと見ると、1本の棒から木の枝が何本か伸びているオブジェがありました。何かと尋ねると、これがコート掛けなのだそうです。そうですよね。冬は活躍するコート掛けもオフシーズンは無用のもの。それを、オブジェにすることで、1年中、役目を果たしてくれます。これも江澤さんのアイデア。さすがです。

外に出ると、裏庭に広がるミニ菜園で、娘さんたちが水やりのお手伝いをしていました。妹さんが一生懸命に水をあげていたのが1本のヒマワリ。とっても大事にしているそうです。川越さんは、子どもたちに、自然とたくさん触れ合うことで、心やさしく育って欲しいと願っているのです。

そんなご家族のニコニコ笑顔に見送られて、川越邸を後にしました。